心理学での「性格」「人格」「気質」の違いとは?わかりやすく解説

違いのギモン

文章は語尾や言い回し、使う言葉の変化によって、読み手が受け取る印象がガラリと変わりますが、それは漢字も同様です。

「性格」「人格」「気質」はいずれも人柄を表す言葉ですが、それぞれ程度や意味に違いがあります。

そこで今回は、「性格」「人格」「気質」の違いについて徹底解説していきます。

結論:「性格」は対象の性質、「人格」は広義的な性格、「気質」は先天的特徴を表す。

「性格」とは、ある対象が先天的、あるいは後天的に備えた性質のことを指します。

一方、「人格」とはより広義な意味を持つ性格を意味し、「気質」は対象の持つ先天的な特徴のことを意味します。

「性格」をもっと詳しく


「性格」とは、ある対象が先天的、あるいは後天的に備えた性質のことです。

『先天的な性質』とは、あるヒトやモノが持って生まれた特徴、またそれによって決定する感情や行動における傾向のことです。

 

たとえば、人間は真っさらな状態で生まれるのではなく、ひとりひとり『個性』を持って生まれてきます。

底抜けに明るい人、穏やかな人、悲観的な人、怒りっぽい人など、個人のベースの何割かは生まれた時点で既に与えられています。

これを、私たちは通常『先天的な性質=性格』と呼んでいます。

 

しかし、人間の性格は、全てが先天的な性質に左右されるわけではありません。

文化や環境、経験など、人生の経過と共に受ける刺激によって、私たちの性格の一部は変化したり、形成されます。

そのような文化的・社会的要因によって決定された傾向のことを、『後天的性質』と言います。

 

つまり、性格とは、その人物のベースとなりうる先天的性質と、外界的刺激によって構成される後天的性質の混合によって形成される、個人の感情・行動の傾向を表します。

また、「人格」「気質」がヒトに使われる言葉であるのに対し、「性格」は、動物や水などの物質の性質を表す言葉としても用いることができます。

たとえば、『水は4℃で密度が最高になり、そこから温度の上昇に伴い徐々に密度が小さくなる、という性格を持った物質である』という風に、水が生来持つ性質を表す場合などに用いられます。

「人格」をもっと詳しく


「人格」とは、広義的な性格を意味します。

『広義的な性格』とは、『より広い意味における性格』ということですが、性格が行動・感情という一部分の傾向を示す言葉であったのに対して、「人格」はその個人(主体)全体を表します。

つまり、ある個人が持つ特徴(=性格)だけではなく、思考や心理を含めた、より深く広い範囲を表すのが「人格」です。

 

また、「性格」が先天的・後天的な性質を表すのに対し、「人格」は家庭環境や生まれ育った地域・国など、外界との関わりの中で形成されるもの、つまりは『何かとの繋がりの中で構築される人間性』を表します。

たとえば、人格はかなり小さい頃に形成されると言われていますが、幼少期を辛く厳しい環境で過ごした子どもは、周りの影響を受けやすい時期に悲しみ・怒り・苦しみを人よりも多く受け取ってしまうことで、心の根底に暗いものを抱えた人間になってしまうことがあります。

このように、他者や周りとの関わりの中で形成される人間性を、「人格」と言います。

 

たとえば、『人格者』という言葉はありますが、『性格者』という言葉は聞いたことがありませんよね。

それは、『人格者』という言葉が、個人のある限定された傾向が優れていることを表す言葉ではなく、個人の人間としてのあり方に対する言葉だからです。

 

『人格を否定する/尊重する』という表現も、『性格を否定する/尊重する』だと不自然に感じますし、前者のほうが受け取る側に強い印象を与えます。

なぜなら、この場合も相手のある一部の行動を非難しているのではなく、相手の人間としてのあり方そのものを否定または尊重する言葉だからです。

 

つまり、個人を表す言葉のレベルとして、性格<人格 と捉えることができるのです。

「性格が良い人」と言われるよりも、「人格の優れた人」と言われた方が、その人が素晴らしく徳のある人物であるというイメージを持つのもそのためです。

なので、目上の人や自分が本当に尊敬している人を表すときは、「性格」よりも「人格」に焦点を置いた表現のほうが好ましいですし、あなたの気持ちの大きさを言葉ひとつで伝えることができます。

「気質」をもっと詳しく


「気質」とは、個人の先天的な特徴を表します。

『先天的な特徴』とは、序盤に解説した「性格」における先天的特徴と同意義です。

明るい・怒りっぽい・情緒不安定・社交的などの一般的な感情傾向を表す言葉で、意志的な側面は表しません。

 

つまり、「性格」が後天的に備えた特徴も含む言葉なのに対して、「気質」は生まれ持った特徴のみを表す言葉として使われます。

また、『先天的特徴=気質』なので、性格を形成する基礎として気質が含まれている、と考えるとわかりやいです。

まとめ

以上、今回は「性格」「人格」「気質」の違いについて解説しました。

  • 性格:対象の持つ先天的、後天的な性質
  • 人格:個人全体の在り方を表す/性格よりも程度が深い
  • 気質:対象の持つ先天的な性質/性格の基礎となる

自分の「気質」はどんなものかを知るのは自分を知る上で大切なことのひとつです。

また、それをベースに周りの影響を受け「性格」がどのように変化してきたか、今までの自分を振り返ると、新しい発見があるでしょう。

完璧な個人はいないので、「気質」や「性格」を活かしたり反省して、自分の「人格」を育てることは、自分を克服することなのかもしれませんね。