漢字には、同じ読み方をするものが多くあります。さらに、意味も似ているものもあり、どう使い分ければいいか困ってしまいますよね。「あらわす」もその中のひとつです。
今回は「表す」「現す」「顕す」「著す」のそれぞれの意味と、使い分けについて解説していきます。
結論:意味が違う
どれも、周囲に示すというニュアンスを持っていますが、細かい部分が異なります。
「表す」は考えを周囲に示すことです。
「現す」は隠れていたものが見えるようになることです。
「顕す」は良い行いをしたことを世間に周知することです。
「著す」は本を出版することです。
「表す」の意味と使い方
「表す」の意味は「心に思っていること、考えていることなどを表情・言葉・絵などで示すこと」「記号や色がある意味を示すこと」です。
つまり、自分の考えを、何らかの手段を使って周りに示すことを指します。表現・表明することです。
用例
- 図に表して説明する
- 赤信号は危険を表す
赤信号は考えではないので、一見当てはまらないように見えるかもしれません。しかし、「赤信号は渡ってはいけない」と決めた人の考えを、信号を通じて示しているとも言えますよね。したがって、「表す」で問題ありません。
「現す」の意味と使い方
「現す」は、「今まで見えなかったものを外に出して見えるようにする」「持っている力をはっきり表に出す」という意味を持ちます。
わからなかったものが明らかになったとき・発揮されたときに使います。発現・具現といった単語は、「現す」の意味を強く持つ単語です。
用例
- 物陰から姿を現す
- 新人がめきめきと頭角を現す
「現れる」の対象は、人や物などの実体のあるものだけではありません。上の例にある「頭角」のように、目に見えない、抽象的なものに対しても使うことができます。
「顕す」の意味と使い方
「顕す」とは、「何かの形で善行などを広く世間に知らせる」ことを指します。
用例
- 記念碑に彼の徳を顕す
- 功徳(くどく)を顕す
「顕す」は「現す」の中でも、良いことをした事実を広める場合に使われます。したがって、「顕す」の代わりに「現す」を使っても問題ありません。
「著す」の意味と使い方
「著す」とは、「書物を書いて出版すること」を表します。
自らの考えや研究成果・体験などを書物として世に出すことです。
用例
- 多くの書物を著す
「著す」と「現す」は語源が同じです。どちらも、今まで世に出ていなかったものが出ることを指します。その中でも、出版によって世に出す場合には「著す」が使われるというような使い分けをします。
まとめ
以上、この記事では「表す」「現す」「顕す」「著す」について違いを紹介しました。最後に違いをまとめるので、参考にしてください。
- 表す:気持ちや考えを周囲に示すこと
- 現す:不明だったものが明らかになること
- 顕す:善行をしたことを世に広めること
- 著す:本を出版すること
使い分けは大変ですが、正しく使えると素敵ですよね。しっかり覚えていきましょう!