「本間」「江戸間」「団地間」の違いとは?大きさに違いあり?

違いのギモン

日本の家には欠かせないのが畳。ゴロリと寝転ぶといい香りに包まれますよね。最近では和室を持たない家が増えてきましたが、今でも畳は日本文化の一つと言えるでしょう。

実は畳は、地域ごとに違いがあります。「本間」「江戸間」「団地間」などの、様々な畳の種類があるのです。これらの違いは何でしょうか。

☆「江戸間」「本間」「団地間」の違いをざっくり言うと……

畳の名前タテの大きさ
(尺貫法)
タテの大きさ
(メートル法)
本間に対する
大きさ
本間6畳に
敷ける枚数
使われている
地域
別名
本間6尺3寸191cm100%6畳西日本京間
六二間6尺2寸188cm約97%6.2畳佐賀県など佐賀間
六一間6尺1寸185cm約94%6.4畳山陽地方・滋賀県など大津間
中京間6尺182cm約91%6.6畳中京地方、東北地方の一部、沖縄・奄美地方など三六間
江戸間5尺8寸176cm約85%7.1畳東日本関東間、田舎間、五八間
団地間5尺6寸170cm約80%7.6畳全国の団地・マンション公団間、五六間

結論:地域ごとに畳の大きさが違う

畳の大きさは、地域差があります。大きい順に、「本間」>「江戸間」>「団地間」です畳の大きさには規格がなく、地域ごとに伝統的な大きさのものが使われています。このほかにも様々な畳の種類がありますが、ここではこれら3つを主に紹介します。

いろいろな畳の種類

その前に:尺貫法って何?

畳の大きさは、「○尺○寸」というように、「尺貫法(しゃっかんほう)」を使って説明した方がスッキリします。尺貫法は日本の伝統的な単位の体系です。現在は「メートル法」が主に使われているので、なじみがないかもしれません。

 

畳の話をするときに必要な単位は、「」「」「(けん)」です。それぞれの大きさを見てみましょう。

cm
10.11/60約3cm
1011/6約30cm
6061約180cm

昔話に出てくる「一寸法師」は、およそ3cmの大きさしかないことになります。1間は6尺であるところが少し変則的ですね。

「本間」をもっと詳しく

「本間」は、西日本で使われている畳です。「京間」という別名もあります。

大きさは、タテ6尺3寸×ヨコ3尺1寸5分です。メートル法に直すと、191cm×95cmです。

「江戸間」をもっと詳しく

「江戸間」は、東日本で使われている畳です。「関東間」「田舎間」という別名もあります。

大きさは、タテ5尺8寸×ヨコ2尺9寸です。このため、「五八間」とも呼ばれます。メートル法に直すと、176cm×86.8cmです。大きさは本間よりも15%小さくなります。

多くの住宅メーカーが、畳の大きさの基準として江戸間を使っています

「団地間」をもっと詳しく

「団地間」は、団地やマンションなどで使われている畳です。昭和時代に建設が進められた公団住宅で使われ始めたため、「公団間」という別名もあります。

大きさは、タテ5尺6寸×ヨコ2尺8寸です。このため、「五六間」とも呼ばれます。

本間より20%も小さいのが団地間です。団地間のタテの長さは170cmで、日本人男性の平均身長を下回ります。「起きて半畳、寝て一畳」という言葉がありますが、団地間で寝ると一畳におさまらない人がたくさんいるでしょう。

その他の畳の大きさ

これまで紹介した以外にも、「中京間」「六一間」「六二間」などがあります

中京間はタテの長さが6尺で、他はそれぞれ6尺1寸、6尺2寸です。中京間の大きさは本間と江戸間の中間ですね。名前の通り、中京間は中京地区(愛知県、岐阜県)を中心に使われています。

畳のサイズに違いが生まれた理由

畳の大きさは、時代を経るにつれて小さくなってきています。つまり、本間が最も古く、江戸間、団地間と続きます。

江戸間が生まれたのは江戸時代です。理由として、2つの説が挙げられています。

説1:家康が単位を変えたから

それまで地域ごとにバラバラだった単位を統一したのは、豊臣秀吉です。天下統一を成しとげた秀吉は、「太閤(たいこう)検地」を行い、全国の農地の大きさを測りました。

そのときに、慣習として使われていた「1間=6尺5寸」にかわって、秀吉は「1間=6尺3寸」と定めました。単位を小さくしたのは、年貢を増やすためです。面積に応じて年貢を決めていたので、単位を縮めれば同じ農地でも面積の数字を大きくすることができるのです。

 

こうして全国で統一された「1間=6尺3寸」をさらに縮めたのが、徳川家康です。家康も、江戸幕府を開いた後に全国で検地を行いました。そのときに、「1間=6尺」にまで縮めたのです。

これが長さの基準となって、中京間や江戸間が生まれたと言われています。

説2:家の建て方が変わったから

江戸時代に入って、家の建て方が変わったために畳の大きさが変わったという説もあります。

幕府が置かれて、これまで田舎だった江戸の町は急速に発展しました。たくさんの人が移り住み、多くの家を建てる必要が生じました。そこで、家の建て方の効率化が図られます

 

これまでは、畳を並べて周りに柱を立てる「畳割り」が一般的でした。しかし、それでは柱を立てるのに手間取ってしまいます。

そこで、先に柱を立てて間に畳を敷く「柱割り」が導入されました。柱と柱の間隔が6尺にされ、その内側に畳を敷くために畳の大きさが6尺よりも小さくなったというのです。

「団地間」の登場

戦後の高度経済成長期は、多くの人が一斉に大都市に移り住みました。そのため、大都市ではたくさんの家を建てる必要が生じ、郊外に大規模な団地(公団住宅)が整備されました。

そのときに、部屋の大きさを小さくした方がたくさんの部屋を作れるので、畳の大きさが変えられました

 

なお、現在の住宅広告では、1畳を1.62平米以上と決めています。1.62平米は180cm×90cmに相当します。江戸間や団地間の部屋では、実際の畳の枚数よりも住宅広告に書いてある数字が小さくなります

まとめ

以上、この記事では、「本間」「江戸間」「団地間」の違いについて解説しました。その他の大きさの畳も含めて、表にまとめました。

畳の名前タテの大きさ
(尺貫法)
タテの大きさ
(メートル法)
本間に対する
大きさ
本間6畳に
敷ける枚数
使われている
地域
別名
本間6尺3寸191cm100%6畳西日本京間
六二間6尺2寸188cm約97%6.2畳佐賀県など佐賀間
六一間6尺1寸185cm約94%6.4畳山陽地方・滋賀県など大津間
中京間6尺182cm約91%6.6畳中京地方、東北地方の一部、沖縄・奄美地方など三六間
江戸間5尺8寸176cm約85%7.1畳東日本関東間、田舎間、五八間
団地間5尺6寸170cm約80%7.6畳全国の団地・マンション公団間、五六間

本間と団地間では、同じ1畳でも2割も大きさが変わります。あなたの家の畳はどの大きさでしょうか。