「現行犯逮捕」と「緊急逮捕」の違いとは?わかりやすく解説

違いのギモン

ニュースでは頻繁に事件の報道をしていますから、「逮捕」という言葉がとてもたくさん出てきますよね。

そして、「逮捕」という言葉が使われる表現としては「現行犯逮捕」や「緊急逮捕」などがあります。

これらの言葉をニュースで聞いたことがある人も多いでしょう。

 

しかし、「現行犯逮捕」や「緊急逮捕」について詳しいことを知っているという人は少ないと思います。

そして、これらの違いについて知っていると日常生活で役に立つこともあるかもしれません。

そこで、今回は「現行犯逮捕」と「緊急逮捕」の違いについて解説していきたいと思います。

結論:違う逮捕の種類

「現行犯逮捕」と「緊急逮捕」はそれぞれ逮捕の種類の1つです。

まず、「現行犯逮捕」とは、目の前で罪を行っているか、罪を行い終わったばかりの人を逮捕することです。

一方、「緊急逮捕」とは急を要して裁判官の礼状を求めることができない時、例外的に捜査機関が逮捕理由を告げて逮捕することです。

序論:逮捕の種類と通常逮捕

逮捕の種類は通常逮捕と現行犯逮捕と緊急逮捕の3つです。そして、現行犯逮捕と緊急逮捕は特殊な逮捕の形なので、まずは通常の逮捕について見ていきましょう。

通常の逮捕のことはそのまま通常逮捕と呼ばれますが、通常逮捕を行うためにはまず、捜査機関の請求を受けた裁判官が逮捕令状を発布する必要があります。

つまり、裁判官が認めないと逮捕できないのです。

ちなみに、逮捕をするためには逮捕令状が必要なことを令状主義と言います。これは、捜査機関が気に入らない人物を不当に逮捕したりしてしまわないためにあります。

 

ちなみに、逮捕令状を発行してもらうにはいくつかの基準をクリアする必要があります。

まず、被疑者を逮捕する時にはその人に罪を犯したことを疑うに足る相当な理由が必要になります。確かに、大した理由もないのに逮捕されてしまったら困りますよね。

また、逮捕令状は被疑者の身柄を拘束する必要がある場合にのみ発行されます。

具体的には、証拠隠滅を行う可能性があったり、逃亡したりする可能性がある時には身柄を拘束して逃げられないようにしておくべきですよね。

 

次に、捜査機関は逮捕状を被疑者に見せて、なんの罪で逮捕するか説明した上で身柄を拘束します。

ちなみに、逮捕令状の有効期間は7日なので、発行されてから一週間以上たった捜査令状で被疑者を逮捕することはできません。

 

基本的にはこのように逮捕が行われますが、もし警察の目の前で事件が起こった場合、いちいち逮捕状を請求していたら犯人に逃げられてしまうかもしれないですよね。

また、事情聴取を行っていて、参考人が突然、自白を始めた場合も、いちいち逮捕令状を請求していたら家に帰られてしまって逃げられてしまうかもしれないです。

そんな時に役に立つのが「現行犯逮捕」や「緊急逮捕」です。

次はそれぞれについて詳しく見ていきましょう。

「現行犯逮捕」をもっと詳しく

現行犯逮捕とは、目の前で罪を行っているか、罪を行い終わったばかりの人を逮捕することです。

ただ、現行犯で逮捕できるのは犯行中か犯行直後に限られます。

 

そして、現行犯の場合には誰でも逮捕令状なしで逮捕することができます。

つまり、一般人でも現行犯ならば逮捕することができるのです。

ただ、一般人が現行犯を逮捕した場合にはできる限り速やかに被疑者の身柄を捜査機関に引き渡す必要があります。

もちろん、家に連れて帰ってはいけません。そんなことをしたら自分が監禁容疑で逮捕されてしまいます。

 

ただ、現行犯逮捕は軽い罪に関しては住所や氏名が明らかでないか、逃亡するおそれがある場合にしか行うことができません。

例えば、覚せい剤所持や痴漢や万引きなどの場合、現行犯逮捕を行うのは難しいでしょう。

逆に、もしやっていないのに痴漢だと言われた場合には、逃げないことを宣言して身分を示す書類を見せれば、現行犯逮捕されるのを防ぐことができます。

 

そして、現行犯逮捕を行うにはほかにもいくつか条件があります。

次はそれについて見ていきましょう。

現行犯逮捕の条件

現行犯逮捕を行うには、犯行からどのくらいの時間がたったかが一番重要になりますが、犯人が犯行現場からどのくらい離れた場所にいるのかも重要になります。

そのため、通常、犯行から30分ほどたっていると現行犯逮捕は成立しませんが、犯人が事件現場から20mほどの場所にいたために現行犯逮捕が成立したケースがあります。

 

また、「泥棒!」などと呼ばれて追いかけられている場合や、凶器もしくは盗んだものを所持している場合なども現行犯逮捕の対象になります。

そのほかにも、服が血まみれなど、身体や衣服に犯罪の顕著な証拠がある時や職務質問などで呼び止められて逃げようとした場合などには現行犯逮捕の対象になります。

ちなみに、これら4つの場合は準現行犯逮捕と呼ばれる場合があります。

「緊急逮捕」をもっと詳しく

緊急逮捕とは急を要して裁判官の礼状を求めることができない時、例外的に捜査機関が逮捕理由を告げて逮捕することです。

そして、刑の上限が懲役3年以上になる重大犯罪の被疑者で罪を犯したことを疑うに足る十分な理由があり、逮捕の必要性がある時にのみ緊急逮捕をすることができます。

この時に、被疑者にはなんの罪で緊急逮捕をするのか告げる必要があります。

ちなみに、「十分な理由」なので、通常逮捕で逮捕令状を請求する時よりも重い理由が必要になります。

 

そして、緊急逮捕を行った場合にはただちに裁判官に逮捕令状を請求する手続きを行わなければなりません。

その結果、裁判官が逮捕令状を発布してくれなかった場合は、被疑者を釈放する必要があります。

ちなみに、現行犯逮捕の要件は満たしてないが、緊急に重大事件の被疑者を捕まえる必要がある時に緊急逮捕が行われる場合が多いでしょう。

そして、緊急逮捕は令状主義の例外として明確に定められているわけではありませんが、最高裁は合憲だという判断を示しています。

 

ちなみに、緊急逮捕は重大事件について任意で事情聴取を行っていた人が犯行を自供した時によく使われます。

また、指名手配犯が見つかった時にも緊急逮捕が使われます。

なぜなら、これまでにも述べた通り、逮捕令状の有効期間は7日であり、指名手配犯だからといってずっと逮捕令状を請求し続けるわけにはいかないからです。

まとめ

以上、この記事では、「現行犯逮捕」と「緊急逮捕」の違いについて解説しました。

  • 現行犯逮捕:目の前で罪を行っているか、罪を行い終わったばかりの人を逮捕すること
  • 緊急逮捕:捜査機関が緊急で逮捕礼状なしに逮捕理由を告げて逮捕すること

逮捕には3つの種類があったんですね。これらの逮捕の種類の違いを知っているともしもの時に役立つかもしれません。

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和佐 崇史
文章を書くこと、読むことが大好きな大学生です。中学2年生で漢検2級を取得するなど、言葉については詳しい自信があります。Webライターとしてはこれまで累計1,000記事以上を執筆してきました。