多くの人に愛されている海産物の一つである、ウニ。もしかすると、「ウニ」や「うに」で表記されるイメージがあるかもしれません。しかし、ウニにはなんと「海栗」「海胆」「雲丹」の3種類もの漢字があるのです。
3種類も使い分けるのは難しそうですが、実は名前の由来に明確な違いがあります。そこで、この記事では「海胆」「海栗」「雲丹」の違いを解説します。
結論:「海栗」「海胆」は生ウニ、「雲丹」は加工されたウニ
- 「海栗」:生きているウニを指します。
- 「海胆」:殻から取り出した中身(生殖巣)で、生のウニを指します。
- 「雲丹」:食品用に加熱・加工されたウニを指します。
「海栗」をもっと詳しく
「海栗」の由来は、その名の通り、栗のようなとげに包まれていることから海の栗「海栗」と表記されるようになりました。ウニも栗も、強い殻でで重要な中身を敵から守っていることが共通します。
海で捕まえてきたばかりの黒くとげとげしたウニを想像してみてください。海から出てきた栗が「海栗」というイメージなのです。
とげを含めた全体のことを指しますが、食品として売られる時に、食べやすいように中身が取り出されたウニにもこの漢字が使われます。
「ウニ」の使い方の例
- 海でダイビングをすると、海底で海栗を見つけることができる。
- 海栗は海藻を食べて生きている。
- このスーパーの海栗はいつも新鮮である。
生物としてのウニを表す場合も、「海栗」です。
「海胆」をもっと詳しく
「胆」とは、肝臓のことです。焼肉屋さんに行くと、「レバー」というお肉がありますよね。動物の肝臓は、鉄分やビタミンが豊富に入っていて、昔からとても貴重な健康食とされてきました。ウニもビタミンEが豊富で、他にも多くの栄養素が含まれています。
このような貴重な肝臓(胆)とウニの中身の見た目が似ていたことから、「海胆」と書かれるようになりました。
私達が食べているウニの中身は、実は「生殖巣」という、ウニが卵を産むために必要な栄養を溜め込む部分なのです。だから、あのような濃厚な食感なのですね。
これは、加熱や味付けされていない生のウニを指すときによく使われます。スーパーで見かける中身の取り出されたウニも、「海胆」です。また、生きている状態のウニを示すときも、この漢字が使えます。
「海胆」の使い方の例
- 近年ウニの値段は上がりっぱなしだ。
- 北海道のお寿司屋さんでは、海胆がいつでもおいしい。
- 日本海には、180種類もの海胆が生息している。
食べるウニも、海にいるウニにも、「海胆」が使えます。
「雲丹」をもっと詳しく
「雲丹」は、中国から渡ってきた漢字です。昔の中国では、栄養価の高い食品はすべて薬だと考え、「雲丹」と呼んでいました。この思想を「医食同源」といいます。ウニも栄養価が高いことが知られていたので、このように呼ばれました。
日本では江戸時代からウニ食が始まったとされていますが、当時は塩漬けして保存することが一般的でした。そのなじみから、今でも加工されたウニに「雲丹」の漢字が使われることが多いです。
しかし、お寿司屋さんやスーパーなどで、生のウニが「雲丹」と表記されることも間違いではありません。
「雲丹」の使い方の例
- 雲丹の炊き込みご飯は私の大好物だ。
- この店の名物は、雲丹ソースのパスタである。
- 雲丹の軍艦はひとくちで食べたい。
まとめ
以上、この記事では、「海胆」「海栗」「雲丹」の違いについて解説しました。
- 海栗:とげを含めらた、生きているウニ。
- 海胆:ウニの食べられる部分。ウニの中身。
- 雲丹:加工されたウニ。
現代では、使い方が似通っていますが、名前の由来はそれぞれ全く違うことがわかりましたね。今までよりもいっそう、ウニの貴重さが感じられると思います。