夏から秋頃なると草むらや石の下で見かける、細長い体に無数の脚を持つ生物といえば何でしょうか。そう、「ムカデ」「ヤスデ」「ゲジゲジ」です。
見た目の気持ち悪さから敬遠されがちな彼らですが、実は全て害虫というわけでもありません。ですから、見分け方を知っていると落ち着いて対処することができます。
この記事では、「ムカデ」「ヤスデ」「ゲジゲジ」の違いについて詳しく説明していきます。
☆「ムカデ」「ヤスデ」「ゲジゲジ」の違いをざっくり言うと……
ムカデ | ヤスデ | ゲジゲジ | |
---|---|---|---|
脚の数 | 1 節に一対 | 1 節に二対 | 1 節に一対 |
脚の長さ | 短い | 短い | 長い |
毒 | 有り | 無し | 微毒 |
学名 | 多足亜門 ムカデ綱 “Centipede” | 多足亜門 ヤスデ綱 “Diplopoda” | 節足動物門 ムカデ綱 ゲジ目 “Scutigeromorpha” |
結論:脚で見分ける
これらを見分けるポイントは、脚の数と長さにあります。
ムカデ | ヤスデ | ゲジゲジ | |
---|---|---|---|
脚の数 | 1 節に一対 | 1 節に二対 | 1 節に一対 |
脚の長さ | 短い | 短い | 長い |
「ヤスデ」の脚は、2 節までは一対ですが、3 節以降は二対生えています。
「ムカデ」をもっと詳しく
「ムカデ」は、多足亜門ムカデ綱に属する節足動物です。節足動物とは、外骨格(がいこっかく)と関節を持つグループのことを言います。体は平たい楕円柱型で、頭部には一対の触覚と口が付いています。
脚はウジャウジャと無数に生えてるように見えるムカデですが、よく見ると1 つの関節に付き一対の脚しか生えていませんしかし、ムカデを漢字で「百足」と書くように、オオムカデは 21〜23 対、多い種では 173 対の脚を持っています。
体長は 60mm〜100mm と、ゲジゲジより大きいことも特徴です。日中は草むらや落ち葉・石や植木鉢の下などに潜んでいますが、夜になると餌を求めて家の中に侵入することがあります。ムカデの食料は、ゴキブリやクモなどの小さな昆虫です。
1 月〜10 月が活発期で、11 月ごろには冬眠を開始します。そして、4 月になると活動を再開します。
また、強い攻撃性と毒を持っているため、見つけたら注意が必要です。目が弱いので触れたものには手当たり次第噛み付く性質があり、噛まれるとひどい腫れや強い痛みを伴います。
万が一噛まれた際は、冷やしたり吸い出したりせずに、お湯で洗い流しましょう。そして、なるべく早く病院へ行くことが大切です。
「ヤスデ」をもっと詳しく
「ヤスデ(馬陸)」とは、多足亜門ヤスデ綱に属する節足動物です。体は円柱型で、ムカデと同じく数十個の節に分かれています。目の有無や数は、種類によって異なります。
最大の特徴である脚は、前の 3 節までは 1 節につき一対、4 節以降は 1 節につき二対生えています。そのため、倍脚類(ばいきゃくるい)とも呼ばれています。体長は 10mm〜25mm とムカデより小さく足も短いので、容易に見分けることができます。
そして、落ち葉などの腐植物質やキノコなどの菌類を食べるため、毒のあるアゴは持っていません。攻撃性がないどころか、刺激するとダンゴムシのように丸くなります。5 月末〜7 月 初旬の特に梅雨明けに多く発生し、落ち葉や朽ちた倒木・石の下などの湿気が多い場所で生活しています。
動きが遅いことも特徴です。
「ゲジゲジ」」をもっと詳しく
ゲジゲジの正式名称は「ゲジ(蚰蜒)」で、節足動物門ムカデ綱ゲジ目に属するムカデの仲間です。体の節数は 18 節で、日本では「ゲジ」と「オオゲジ」の 2 種類が生息しています。体長は 20〜30mm と短いですが、長い触覚と足を持っています。また、先端が鞭(むち)のように伸びることも特徴です。
脚の数は、ムカデと同じく 1 節に一対です。しかしムカデは体をくねらせて移動しますが、ゲジは滑るように移動します。
夜行性で、普段は石の下や草むらに生息しています。毒は持っていますが、自ら積極的に襲うことはなく、噛まれても人体に影響はありません。ゴキブリや小虫を捕食するので、むしろ益虫と言えるでしょう。
まとめ
以上、この記事では、「ムカデ」「ヤスデ」「ゲジゲジ」の違いについて解説しました。
もう一度以下の表で確認してみましょう。
ムカデ | ヤスデ | ゲジゲジ | |
---|---|---|---|
脚の数 | 1 節に一対 | 1 節に二対 | 1 節に一対 |
脚の長さ | 短い | 短い | 長い |
毒 | 有り | 無し | 微毒 |
学名 | 多足亜門 ムカデ綱 “Centipede” | 多足亜門 ヤスデ綱 “Diplopoda” | 節足動物門 ムカデ綱 ゲジ目 “Scutigeromorpha” |
「ムカデ」「ヤスデ」「ゲジゲジ」には、このような違いがあります。もし遭遇してしまっても、脚をよく見て落ち着いて対処できるようにしましょう。