「天気」と「天候」と「気象」と「気候」の違いとは?使い分けを解説

違いのギモン

日本語は天気を表す言葉が豊かだと言われています。たとえば、桜の時期だけでも「花曇り」「花冷え」「花散らし」など、季節限定で使われる天気の言葉がたくさんありますよね。

これらは「天候を表す言葉」と言えるのでしょうか。あるいは、「気象」「気候」と言うこともできないでしょうか。

「天気」「天候」「気象」「気候」の違いは何でしょうか。

結論:「天気」は短く、「気候」は長い

「天気」「天候」は、短期間の空もようをあらわします。特に、「天気」は 1 時間から 数日単位で使われることが多いです。

一方、「気候」は、1 年単位の大気の状態を総合して言うときに使います。また、「気象」は、大気で起こっていることを幅広く指します

「天気」をもっと詳しく

「天気」は、「空もようを短い期間でみたもの」です。

「天気」といえば、数時間から数日単位で見ることが多いです。たとえば、1 週間の天気予報といっても、毎日の予報が出ていますよね。また、最近では 1 時間ごとの天気予報を調べることもできます。

 

気象庁のホームページで、「天気」の意味を説明していました。

気温、湿度、風、雲量、視程、雨、雪、雷などの気象に関係する要素を総合した大気の状態

これだけではわかりづらいので、気象庁の 15 種類に分けている天気をそれぞれ説明します。

雲の量が決め手の「快晴」「晴れ」「曇り」

雲量(うんりょう)とは、空全体の中に雲が占める割合です。実は、「快晴」「晴れ」「曇り」は、雲量の違いで区別されます。日本では、雲量は 0 から 10 まで分けられています。

  • 雲量 0 ~ 1 :快晴
  • 雲量 2 ~ 8 :晴れ
  • 雲量 9 ~ 10:曇り

意外と晴れの範囲が広いことがわかります。また、曇りのうち、視程(見える範囲)が 1km 以上で高いところに雲が多いときを「薄曇り」と言います。

雨と雪の違い

空気中の水蒸気が、溶けきれなくなって水や氷になって降ってくるものが雨や雪です。温度が低くなると、水蒸気が溶けにくくなって水滴が作られやすくなります。冷たい水を入れたコップの周りに水滴がつくのも、このためです。

霧雨(きりさめ)」「」「」「みぞれ」の違いは、表のとおりです。

  • 霧雨:粒の大きさが 0.5mm 未満の水滴
  • :粒の大きさが 0.5mm 以上の水滴
  • :氷の結晶が降ってくること
  • みぞれ:雪と雨がまざって降ってくること

「ひょう」と「あられ」の違い

氷の塊が降ってくる「ひょう」と「あられ」は、車や建物を壊してしまうこともあるやっかいものです。この 2 つは、大きさによって区別されています。直径 5mm 以上が「ひょう」、5mm 未満は「あられ」と呼ばれます。

「ひょう」「あられ」と「雪」の違いは、氷の粒か氷の結晶かどうかです。粒の方がぎっしり詰まっているため、硬くて当たると痛いです。

できれば避けたい「カミナリ」「キリ」などの天気

ここでは、1 年のうちであまり起こらない天気を説明します。どれも、生活に影響を与えるやっかいな天気です。

 

(カミナリ)」は、雲から電気が放出されて光と音を放つ現象です。雷に打たれると、感電によって命の危険もあります。

雷が鳴っているときは、避雷針のついた建物に避難するのが安全です。平原や森林などの自然の中にいる場合は、高い木などから離れることが大切です。

 

(キリ)」と「煙霧(えんむ)」は、視程が 1km 未満になることを指します。交通事故が起きやすくなるなどの影響があります。霧は水滴によって、煙霧は大気汚染物質や火山灰などの乾燥した粒によって起こされるものを指します。

日本ではめったにありませんが、砂漠などでは「(さ)じん嵐」が起こることもあります。強い風によって砂が巻き上げられることを指します。家や畑が砂に埋まってしまうこともあります。

また、「地ふぶき」も視界を悪くします。雪が降っていなくても、強い風で積もった雪が巻き上げられて起こります。視界が真っ白になって、遭難のおそれもある危険な天気です。

「天候」をもっと詳しく

天気よりも少し長い期間でみた空もようが「天候」です。

たとえば、「天候不順で野菜の生育が遅れている」という言い方をします。ここでは、最近数ヶ月ほどの天気をまとめて、「いつもより良くない」としているのです。

 

ただし、「突然の悪天候で飛行機が欠航した」と言うときは、むしろ短期間のことを指しているようです。

厳密な区別から外れて、天気と同じように使われるときもあります。「悪天候」などの決められた表現に見られます。また、かたい印象を与えたいときに、あえて「天候」と言うこともあります。

「気象」をもっと詳しく

大気中で起こっているさまざまな現象をまとめて「気象」といいます。ある場所での風や雨のような小さなスケールから、地球規模で起こっていることまで幅広く指します

 

「虹(にじ)」や「蜃気楼(しんきろう)」などの現象は、天気予報では出てきませんが、気象現象の一つです。大気の状態によって起こりますよね。

全国規模の気象現象としては「梅雨前線」、地球規模の気象現象としては、「エル・ニーニョ現象」などがあります。どこかで聞いたことがあると思いますが、広い地域の「天気」を決める現象も「気象」に含まれるのですね。

「気候」をもっと詳しく

「気候」とは「ある地域を特徴づける 1 年間の大気の状態」です。天気や天候に比べて、長いスケールなのが特徴です。

数日間雨が続いても、「最近どんよりした気候だね」とは言いませんよね。一方で、地球温暖化は「気候変動が起こっている」という言い方をします。数十年の単位で見て変化があるから、「気候変動」と言うのです。

気候の三要素

気候を決めるものはたくさんありますが、特に重要なのが「気温」「」「降水量」です。この 3 つを「気候の三要素」といいます。

たとえば、同じ「北風」が吹く冬の日本でも、「雪」が降る日本海側と、カラッと「晴れる」太平洋側では全く気候が異なります。そして、沖縄では冬でも気温が高いですよね。

まとめ

以上、この記事では、「天気」「天候」「気象」「気候」の違いについて解説しました。

  • 天気:1 時間から数日程度の大気の様子
  • 天候:数日から数ヶ月程度の大気の様子
  • 気象:大気で起こるさまざまな現象
  • 気候:1 年単位でみた大気の状態のまとめ
これらの違いを知って、正しく使い分けたいですね。