サービスを提供している会社が避けて通れないものといえば「苦情」や「クレーム」ですよね。
そして、これらは消費者の不満を表しているため、企業にとってはあまり気持ちのいいものではありません。
しかし、「苦情」や「クレーム」は自社のサービスの何が足りないかを教えてくれます。
そして、足りない点を改善していけばよりよいサービスを提供していけるようになるでしょう。
そのため、「苦情」や「クレーム」とうまくつきあっていくのは重要です。
ところで、「苦情」や「クレーム」では何が違うのでしょうか。
この 2 つの言葉を混同して使ってしまうと思わぬ失敗をしてしまうかもしれません。
そこで、今回は「苦情」と「クレーム」の違いについて解説していきたいと思います。
結論:感情の意味を含んでいるかどうかが違う
一方、「クレーム」とは自らが損害を受けたことに対する権利を主張したり、損害に対する請求を行ったりすることです。
つまり、「苦情」には感情が含まれていますが、「クレーム」には感情が含まれていないのです。
「苦情」をもっと詳しく
苦情とは害を受けていることに対する不満の気持ちやその気持ちを相手に伝えることやその言葉のことです。
ちなみに、「苦情」は「苦しい事情」と書きますよね。なので、もともとは「難儀な事情」のことを表していました。
そして、対象となる事柄が本来あるべき姿とは異なることを伝えるというよりは、その事象に対して腹が立つ感情を伝えることを表します。
例えば、飲食店でご飯を食べたお客さんが「このご飯、固いんだけど」という苦情を言った場合、お客さんの中にはご飯はもう少しやわらかいものであるというイメージがあり、これはやわらかくないという事実を伝えているわけではありません。
ご飯が固いというということに対して腹が立っているから苦情を言っているのです。
そして、消費者から会社への苦情の場合、指摘されたことを改善することで品質を向上させることができ、その事業者への評価は高まっていくでしょう。
そのため、苦情は会社にとってありがたいアドバイスであると言うことができます。
例えば、ご飯が固いという苦情が来た場合には、次回からもう少しご飯を炊く時に入れる水の量を増やすなどの対策をしてご飯をやわらかくする努力をするべきです。
そして、ご飯がやわらかくなれば、その店はより高いクオリティのご飯を提供できるようになるでしょう。
ちなみに、苦情は必ずしも消費者から企業に寄せられるわけではありません。
人対人であれば、どんな関係でも用いることができます。
例えば、防音設備があまり整っていないアパートで深夜に楽器の練習をしていた場合、「深夜に大きな音を出すな」という苦情が来ることでしょう。
そして、もし苦情を受けてしまった場合には、きちんと反省して改善するべきでしょう。上の例では、深夜には演奏を控えるのが適切です。
ただ、それが理不尽な苦情であった場合にはきちんと自分の意見を主張することも重要だと思います。
「クレーム」をもっと詳しく
クレームとは自らが損害を受けたことに対する権利を主張したり、損害に対する請求を行ったりすることです。
英語では “claim” とつづります。そして、「苦情」の意味で使われることもありますが、本来、 “claim” に苦情の意味はありません。
ちなみに、苦情は英語では “complaint” とつづります。
そして、クレームとは本来は商取引で違約があった場合、相手に対して損害賠償請求を行うことを表していました。
その証拠に、 “claim” という英単語の一番大きな意味は「主張する」です。
つまり、クレームとは自分に正当な権利があるものを請求するものなのです。
そして、気持ちの面を表す意味はなく、純粋に行為の意味だけを表します。
ちなみに、日本語で「クレーム」が本来とは違った使われかたをしているのは、日本語に “claim” にあたる単語がないからです。
そのため、企業に対して理不尽な要求をする消費者をモンスタークレーマーと呼ぶことがあります。
ちなみに、モンスタークレーマーの「モンスター」はモンスターペアレントがもとになっているようです。
つまり、正確に言うならば「モンスター苦情客」というべきでしょう。
そして、クレームは消費者がサービス業者に行うことが多いです。
逆に、一般の人同士で使われることはないです。
そのため、「深夜に楽器を弾いていたら近所のおばさんからクレームが来た」と言うと少し変です。
まとめ
以上、この記事では、「苦情」と「クレーム」の違いについて解説しました。
- 苦情:損害への不満の気持ちやその気持ちを相手に伝えることやその言葉のこと
- クレーム:損害を受けたことへの権利を主張し、損害に対する請求を行うこと
「苦情」と「クレーム」をうまく処理することはとても大切です。この 2 つの言葉の違いをきちんと把握した上で、「苦情」や「クレーム」とうまく付き合っていくべきでしょう。