「踊る」と「躍る」の2つを言葉を見比べてみましょう。どちらも「おどる」と読みますね。また、漢字のつくりも似ています。
それでは、両者にはどのような区別があるのでしょうか。そこで、この記事では、「踊る」と「躍る」の違いについて解説します。
このページの目次
結論:「踊る」と「躍る」は全く異なる行為を指す
「踊る」をもっと詳しく
「踊る」は、2つの意味をもちます。
まず、「踊る」には、音楽やリズムに合わせて体を動かすという意味があります。。
つまり、ダンスや舞いを指すのです。そのため、「バレエを踊る」、「盆踊り」などが用例として挙げられます。
また、「踊らされる」と受け身で表現すると、他人に操作されて行動するという意味をもちます。
たとえば、ある人が友人に騙されて、やってはいけない行動を起こしてしまったとしましょう。その人は、友人に操られたということになります。この状態を「友人に踊らされた」と表現することができるのです。
「踊る」の使い方
- 流れてきた音楽に合わせて踊る。
- どうやら、私は彼の嘘に踊らされていただけだったようだ。
②では、他人に良いようにコントロールされるという意味で「踊る」を用いています。この場合、嘘やデマなど、他人をだますことを目的とした何かとセットで表現されることが多いです。
「躍る」をもっと詳しく
「躍る」にも、2つの意味があります。
1つ目は、勢いよく飛び上がるという意味です。たとえば、釣ったばかりの魚が網の中で跳ね上がる状態を「魚が躍る」と言います。
2つ目は、喜びや期待などでわくわくしたり、どきどきしたりするという意味です。1つ目の物理的な意味に対して、こちらは精神的な意味で用いています。
たとえば、嬉しい出来事が起きたり、心待ちにしていることがあったりすると、気持ちが高まりますね。この状態を「胸が躍る」と言います。また、感情が高ぶって、力がみなぎる様子を指す「血沸(わ)き肉躍る」という表現も有名です。
「躍る」の使い方
- 合格通知を受け、彼は躍り上がって喜んだ。
- 我がチームは優勝候補を倒し、首位に躍り出た。
- その写真には、プレゼントの包みを開く瞬間の、私の心躍る表情があった。
②の「躍り出る」は、順位が突き出ることを指しています。音としてはよく耳にする言葉ですが、「踊り出る」ではないため注意しましょう。
③では、心がわくわくすることを「心躍る」と表現しています。
「踊る」と「躍る」が持つ共通の意味
「踊る」と「躍る」には、共通する意味もあります。それは、「書いた文字が乱れる」という意味です。
緊張して手が震え、それが字にも表れた時、「字が踊(躍)っている」などと表現します。
「踊る」と「躍る」の英語訳
「踊る」と「躍る」は同音であれど、違う意味であるため、英語訳も異なります。
「踊る」の英語訳は以下の通りです。
- dance
(ダンスする、他人を踊らせる(操る)) - be manipulated by ~
(踊らされる、操られる)
それぞれを用いた例文は以下の通りです。
- I like a social dance.
(社交ダンスが好きだ。) - It seems that he has been manipulated by her.
(彼は、彼女に踊らされていたようだ。)
「躍る」の英語訳は以下の通りです。
- jump
(跳ぶ) - be excited by ~
(~にわくわくする)
それぞれを用いた例文は以下の通りです。
- When he scored a goal, she jumped up for joy.
(彼がゴールを決めた時、彼女は跳び上がって喜んだ。) - I was excited by the appearance of my favorite soccer player.
(大好きなサッカー選手の登場に、心が躍った。)
まとめ
以上、この記事では、「踊る」と「躍る」の違いについて解説しました。最後に、両者の違いについておさらいしましょう。
- 踊る:ダンスをする、( “踊らされる” で)操られる
- 躍る:勢いよく飛び上がる、喜びや期待などでわくわくする
「踊る」と「躍る」は、読み方や漢字の構造が似ているものの、意味は異なるのです。また、「踊る」と「躍る」のそれぞれに2つの意味があります。
違いを正しく理解したうえで、両者を使い分けましょう。