「昨年」と「去年」の違いとは?ビジネス場面での使い方まで解説

違いのギモン

一年前を表す言葉として、代表的なものが2つあります。「昨年」と「去年」です。どちらも日常的に耳にする言葉ですが、あなたは両者の違いを知っていますか。

恐らく、無意識に使い分けている人も多いでしょう。しかし、明確に使い分けを知らないと、ふとした時に間違えてしまうかもしれません。

今回は、言葉としては使っているけれど、実は使い分けが良く分からない人のために、「昨年」と「去年」の違いを解説していきます。違いは明確なので、結論だけでも覚えて言って下さい。

結論:丁寧なメールでは「昨年」。日常会話は「去年」。

どちらも「一つ前の年」という意味です。

「昨年」は丁寧な言葉です。新聞やニュースなどで使用されます。

一方、「去年」は日常会話で使う表現です。

「昨年」をもっと詳しく


「昨年」とは、「今年の前の年」のことです。意味的には「去年」と同じです。

「昨年」という言葉は明治期に使われ始めたとされており、歴史としては「去年」よりも浅いです。

「昨年」の「昨」は「過ぎ去った、ひとまわり前の」という意味があります。つまり、「昨年」は「(1年をひとまわりとして)ひとまわり前の年」という意味になります。

 

「昨年」は「去年」よりも丁寧で、改まった表現です。ニュースや新聞、丁寧なビジネス用メールなど真面目な場面で使用します。これは「昨夜」「昨日」などにもいえることです。

「去年」のように縁起が悪いということはありません。そのため年賀状や結婚式などでは「去年」よりも「昨年」の方が適しています。

 

また、「昨年度」「昨年末」「昨年来」など、「昨年」の後に漢字を足し、一つの言葉として用いることがあります。

「年度」とは、事務や会計のために便宜上定めた1年の期間のことです。よって「昨年度」とは、今より1つ前の年度となります。また「昨年末」とは、「昨年」の終わり頃のことです。

「昨年来」とは、「去年から今現在まで」という意味です。「30年来の友人」というように、一定の年月、持続している事柄を「年来」と表現することがありますが、「去年来」もそのうちの1種です。一方、「去年来」という言葉はありません。

 

「昨年」の反対語は「明年(みょうねん)」「来年」です。意味は「明年」「来年」ともに同じです。

また、2年前のことを「一昨年」と書いて「おととし」と読みます。

「昨年」の使い方の例

・昨年度は大変お世話になりました。

→改まった文、丁寧なメールなどでは、「昨年」を使います。

・今年度は昨年度の1.2倍の売り上げを目指します。

→「去年度」という言葉はありません。

「去年」をもっと詳しく


「去年」とは、「今年の前の年」のことです。「去」には「去る、ゆく」といった意味があるため、漢字の通り「過ぎ去った年」のことを表します。意味的には「昨年」と同じです。

「去年」は「こぞ」と読むこともできます。「去年(こぞ)」の代表的な例として、俳句の季語である「去年今年(こぞことし)」という言葉があります。これは正月に、新しく始まった年を噛みしめつつ、過ぎ去った「去年」に思いはせるという意味で、新年の季語です。

「去年」という言葉は、「昨年」よりも古くからあり、歴史は古いです。

 

「去年」は日常会話、特に同世代の友人や家族との会話で使用します。話し言葉であり、公式の場には相応しくありません。

また「去年」の「去」はあまり縁起が良くない漢字であるとされています。特に、結婚式などでは「離婚、疎遠」などを連想させるため、通常使われません。このような言葉を「忌み言葉」といいます。

 

「去年」の反対の言葉は「来年」「明年」です。「去年」「今年」「来年」の順に、時間が流れていきます。

また、2年前のことを「去去年(きょきょねん)」といいます。同じ意味の言葉として、「一昨年(おととし)」があります。

「去年」の使い方の例

・去年一緒に観た映画、まじ面白かったよね。

→「去年」は話し言葉として、日常会話で使われることが多いです。

・去年今年(こぞことし) 貫く棒の 如ごときもの

→高浜虚子の有名な1句です。年が変わり、流れゆく時間を「棒」として表現したものです。

まとめ

以上、この記事では、「昨年」と「去年」の違いについて解説しました。

  • 昨年:公(おおやけ)の場、報道、ビジネスメースなどで用いる。
  • 去年:日常会話で用いる。

「去年は大変お世話になりありがとうございました。」
取引先に対する社外メールでこのような文面で送ると、恐らく違和感を持たれてしまうことでしょう。

「昨年行った原宿のいちごパフェ、超おいしかったよね。」
一方、こんな使い方も普通しません。話し相手の子は、何かのジョークかな、と疑ってしまうでしょう。

 

いちごパフェの話題であるならばともかく、会社の取引先の信頼感を損ねることは、何としてでも避けたいところです。

「昨年」「去年」はどちらも基本的で誰もが使う表現です。使い慣れている人も多いと思いますが、今一度違いを確認しておきましょう。