日本語には豊富な単語がありますよね。
そして、英語には日本語と比べて豊富な動詞がありますが、日本語には英語に比べて豊富な名詞があります。
なので、その中には意味が似ていて使いわけが難しいものもたくさんあります。
例えば、「準備」と「用意」と「支度(したく)」はその 1 つだと思います。
これら 3 つの単語はどれも「物事をするためにあらかじめ整えておくこと」という意味ですが、きちんと使いわけがあります。
そこで、今回は「準備」と「用意」と「支度」の違いについて解説していきたいと思います。
結論:含まれるものの範囲が違う
次に、「用意」は前もって必要なものをそろえておくことに重点があり、具体的な表現です。
そして、「支度」とは具体的な行動にすぐに取り掛かれるようにしておくことです。
つまり、「準備」と「用意」と「支度」ではどこまで含まれるのかが異なるのです。
「準備」をもっと詳しく
準備とは物の準備だけでなく態勢や環境などもあらかじめ整えておくことです。
そして、大まかな計画をするという意味でも使うので、3 つの言葉の中では一番長期間のことを指す表現と言えるでしょう。
また、3 つの中では一番一般的な言葉です。
そして、必要のないところまで備えるという特徴もあります。
例えば、「試験の準備のために勉強をする」と言った場合、試験で出題されるのは勉強したものの中の一部ですから、必要のないところまで備えていますよね。
また、「準備」は覚悟を決めるという意味で使われることもあります。
例えば、「バンジージャンプを前に、心の準備をする」と言った場合には、バンジージャンプをする覚悟を決めているということですよね。
「用意」をもっと詳しく
用意は前もって必要なものをそろえておくことに重点があり、具体的な表現です。
この表現は「準備」よりも短い期間のことを指しています。
そして、そろえておくものはより具体的であり、毎回決まっている場合もあるでしょう。
また、「用意」した直後に行動を開始する場合もあります。
例えば、陸上競技の合図は「用意、ドン」ですよね。
このことから、「用意」は英語で言えば “ready” にあたる表現だと言うことができるでしょう。
ちなみに、覚悟を決めるという意味では使わないわけではありませんが、ふつうは「準備」を使います。
「心の用意をする」とはあまり言いませんよね。
「支度」をもっと詳しく
支度とは具体的な行動にすぐに取り掛かれるようにしておくことです。
そして、主に食事や服装や持ち物などをすぐに取り掛かれるようにしておくことを指します。
例えば、「食事の支度をする」「明日の旅行の支度をする」などと言いますよね。
そして、態勢や心構えの意味では使わず、時間的にもより実行に迫っている時に使う表現です。
また、「支度」するものはたいてい身の回りにあるものでしょう。
「準備」と「用意」と「支度」の使いわけ例
やはり、言葉の使いわけは例文で説明するのが一番わかりやすいと思うので、この項では実際の使いわけの例について解説していきたいと思います。
ここでは旅行を例にして考えてみましょう。
まず、「旅行の準備をする」という場合には、広くいろいろなものが含まれていると考えられます。
例えば、旅行の準備にはプランを立てることも含まれるでしょうし、飛行機を使う場合にはそのチケットを取ったりすることも含まれます。
また、前日になってバッグの中に旅行用品を入れることも準備に含むことができるでしょう。
次に、「旅行の用意をする」という場合には何を指しているのでしょうか。
これには旅行の出発時刻を確認したり、飛行機のチケットを取ったりすることも含まれます。しかし、プランを立てるところまでは含まれないでしょう。
そして、必要なものをバッグに詰めることも含まれます。
そして、「旅行の支度をする」という場合にはより狭い範囲の物事を指すことになります。
旅行の支度で含まれるのはせいぜい前日に行うものまででしょう。プランを立てることはもちろん含まれませんし、飛行機のチケットを取ったりすることも含まれません。
そして、主に前日に必要なものをバッグに入れることを指しているでしょう。また、当日に服装を整えたりすることも含まれます。
まとめ
以上、この記事では、「準備」と「用意」と「支度」の違いについて解説しました。
- 準備:物の準備だけでなく態勢や環境などもあらかじめ整えておくこと
- 用意:前もって必要なものをそろえておくことに重点があり、具体的な表現
- 支度:具体的な行動にすぐに取り掛かれるようにしておくこと
「準備」>「用意」>「支度」の順で含まれるものが多くなっていくんですね。これからは使いわけられるようにしていきたいものです。