誤チェストとは「誤って相手を切り殺してしまうこと」という意味です。
語感がよいのでネット上でよく使われていますが、どう使えばよいのか考えてしまいませんか。
そこで今回は誤チェストの意味や使い方を丁寧にわかりやすく解説します。
「誤チェスト」の意味
誤って相手を切り殺してしまうこと
例:誤チェストでごわす。
誤チェストを分解すると、以下のようになります。
- 誤
誤って、間違えて - チェスト
斬りかかる攻撃
一方のチェストは本来「胸」という意味ですが、ここでは「斬りかかる攻撃」という意味で使っています。
そのため、ふたつの単語を合わせて「誤って相手を切り殺してしまうこと」という意味で使われています。
なぜ、チェストが「斬りかかる攻撃」という意味になるのかは、元ネタが重要になってくるのでご紹介します。
「誤チェスト」の元ネタ
誤チェストは、マンガ『衛府の七忍』のセリフが元ネタとなっています。
薩摩藩の武士たちは、剣の達人である宮本武蔵を探すために、通りすがりの武士に片っ端から「チェスト」と叫びながら切りかかります。
しかし、当然ながらほとんどの人物は宮本武蔵ではなく、間違いです。
この間違った攻撃を作中では、誤チェストと呼んでいました。
「誤チェストでごわす」とは
歴史上の人物であり、マンガにも登場する中馬大蔵(ちゅうまんおおくら)は作品内で「誤チェストでごわす」と発言しており、このセリフも有名です。
確認をせずに切り倒すギャグの面白さと、誤チェストの語感のよさから、読者が2016年ごろからTwitterで使い始めてあっという間に広がりました。
今では誤チェストの文字を使ったTシャツなどのグッズが販売されるほどです。
宮本武蔵とは?
宮本武蔵は二刀流を編み出した最強の剣士です。
生涯無敗だったとも言われています。
佐々木小次郎と巌流島で決闘し、真剣に対して木刀で勝利したと言われています。
中馬大蔵とは?
中馬大蔵は、「勇者」「乱暴者」という意味の鹿児島弁「ぼっけもん」と呼ばれる人物で、素行が悪い一方で、関ヶ原の戦いに参加するなど勇敢な性格でした。
中馬大蔵は島津軍として関ヶ原の戦いに参加しますが、敗北します。しかし、中馬大蔵は果敢にも島津義弘を生きて連れ帰りました。
「チェスト」の意味
作中では、チェストにはさまざまな意味が込められているとされており、言葉で簡単に説明できない意味を持つ単語として扱われています。
これに関して武蔵は「チェストとは”知恵捨て”と心得たり」という発言をしています。
「チェスト」は方言?
ちなみに、「チェスト」は薩摩方言の一種であり、「気合い入れてけ」という意味で使用されています。
たまに現在でもスポーツ大会の弾幕などで「チェスト」が使用されています。
一方で「薩摩藩の示現流(じげんりゅう)という古流剣術でチェストという掛け声が使用される」という説もあります。
しかし、こちらは、司馬遼太郎の作品など剣豪小説の中で薩摩方言の「チェスト」と、切りかかる時の掛け声を混ぜ合わせて生まれた説だとも言われています。
「誤チェスト」の使い方
誤チェストは、何か勢い余って間違ってしまった時によく使用します。
たとえば、Twitterでは水草を取り間違えてしまった際に使用されています。
水草誤チェストでごわす pic.twitter.com/Hvz4Qmo93V
— めだか同好会 (@medakasakana) December 5, 2021
実際の例文には以下のようなものがあります。
- やべえ、誤チェストした。
- 勢い余って誤チェストしてしまった。
- 誤チェストしてもバレないかな?
- 対戦相手間違えて誤チェストした。
- 話しかける相手を誤チェストして恥ずかしい。
- 戦闘で誤チェストして役立たず扱いされた。
- 急に誤チェストしてびっくりした。
- 誤チェストして暴走してない?
- うおおおお!豪快な誤チェストで笑う。
- 間違ってて、誤チェストなんだよなあ。
また、マンガ『ポプテピピック』では、話の中で主人公がビルを破壊しますが、間違ったビルを破壊してしまうというオチがあります。
オチの場面で「誤チェストでごわす」が使われています。
その他にも、以下のような作品のキャラが「誤チェスト」に関連したネタにされています。
- 島津豊久
平野耕太(ヒラコー)のマンガ作品『ドリフターズ』の主人公 - 田中新兵衛
ゲーム『Fate/Grand Order』に登場するアサシン
キャラクターによっては、「誤チェスト」のセリフとコラボさせたイラストなどになっています。
「誤チェスト」の返し方
誤チェストの返し方としては、「またにごわすか」があります。
元ネタとなった漫画のセリフで、薩摩弁が使用されています。
「またにごわすか」を使えば作品の世界観も演出でき、返しとしても成立します。
「誤チェスト」の関連語
誤チェストの関連語には、以下のようなものがあります。
- チェスト関ヶ原
島津家の隠語で「ぶち殺せ」 - チェスト種子島
鉄砲伝来の種子島と掛け合わせてマシンガンの威力を表現したもの
どちらも「チェスト」を攻撃の掛け声としており、それをアレンジしたフレーズになっています。
他の山口真由作品
マンガ『衛府の七忍』の作者は山口真由で、他にも以下のような代表作が存在します。
- 『覚悟のススメ』
人類滅亡に立ち向かうストーリー - 『シグルイ』
武士道の戦いを描いた時代マンガ
山口真由の作品は、ある作品のキャラクターが同じ作者の他の作品にも登場するなど、つながりのある演出が人気です。
「誤チェスト」のまとめ
以上、この記事では誤チェストについて解説しました。
読み方 | 誤チェスト |
---|---|
意味 | 誤って相手を切り殺してしまうこと |
チェストの意味 | さまざまな意味が込められており、 言葉で簡単に説明できない単語 |
元ネタ | マンガ『衛府の七忍』内のセリフ |
関連語 | チェスト関ヶ原 チェスト種子島 |
他の作品 | 『覚悟のススメ』 『シグルイ』 |
誤チェストは語呂もよくて言いやすいので、ネットでもよく使用されています。
ぜひ、この記事を参考にして意味や使い方を覚えましょう。