スマートフォンやパソコンには、一般的な漢字が全て記憶されているため、ひらがなさえ打ち込めば、簡単に漢字に変換することができます。そのため、一昔前の人よりも漢字が思い出せなくて苦労する、ということはなくなったのではないでしょうか。
しかし、漢字は数が多い上に紛らわしいものが多く、中には同じ読み方で意味が似ている漢字があります。例えば「顧みる」と「省みる」はどちらも「かえりみる」と読み、似たような意味を持っています。あなたは、両者の違いを正確に理解していますか。
「顧みる」と「省みる」のような紛らわしい言葉は、たとえ予測変換機能があったとしても迷ってしまうこともあるでしょう。そのため、頭で意味をしっかりと覚えておく必要があります。
今回は、社会人でもなかなか難しい「顧みる」と「省みる」の違いについて解説していきます。子供から大人まで、違いがよくわかっていない人は是非読んでみてください。
結論:「顧みる」は過去を思い起こす。「省みる」は反省する。
「顧みる」とは、過去の事象を思い起こし、考えることです。
「省みる」とは、過去の自分の行動について考え、反省することです。
「顧みる」をもっと詳しく
「顧みる」には、次のような意味があります。
- 過ぎ去った物事や人のことを思い返し、考えること
- 誰かを気遣い、心配すること
- 物理的に振り返ること。一度戻って見ること
➀の意味が最も代表的です。思い返す対象は、自分や他人、時代や周囲のものなど様々です。
「顧みる」の「顧」という漢字は、「振り返って見回す、思いをめぐらす」という意味があります。回顧、顧問、愛顧、顧客など多くの熟語で使用され、それぞれに「顧」の意味合いが色濃く出ています。
「顧みる」の使い方の例
→「過去を思い起こす」の意味です。過去の自分や他人、時代などが「顧みる」対象となります。
→「誰かを気遣い、心配する」の意味です。
→「物理的に振り返る」の意味です。
「省みる」をもっと詳しく
「省みる」とは、自分の行動や考えについて振り返り、反省することです。対象は自分で、過去の内容に限定されます。
「省みる」の「省」には、様々な意味がありますが、代表的な意味として「自分の内面をよく見つめる」という意味があります。反省、内省、猛省などの熟語は、この意味が色濃く反映されています。
「省みる」の使い方の例
→「顧みる」の時とは異なり「反省する」というような意味になります。
まとめ
以上、この記事では、「顧みる」と「省みる」の違いについて解説しました。
- 顧みる:過去の出来事や人、時代を思い起こすこと
- 省みる:過去の自分を振り返り、反省すること
「顧みる」と「省みる」は、どちらも「過去を振り返る」という点では共通していますが、「振り返る対象」や「振り返った時の感情」が異なります。それぞれ「回顧」と「反省」と言い換えることができるかもしれません。
「顧みる」と「省みる」は日常的に多様する言葉ではありません。しかし、だからこそふとした瞬間、どちらが場面に即していて、どちらを使うべきか、分からなくなってしまうかもしれません。紛らわしい単語ですが、しっかり覚えておきましょう。