「目をつぶる」には、「目を閉じること」「ミスを特別に許してあげること」「死ぬこと」という意味があります。
シンプルな言葉ではあるものの、比喩的な慣用句としての意味もあるため、正しい使い方に自信がないという方が多いのではないでしょうか?
この記事では、「目をつぶる」の複数の意味や、それぞれの使い方、類義語などについて詳しく解説します。
「目をつぶる」の意味
- 目を閉じること
例:パソコンの画面を何時間も見続けて疲れたので、目をつぶって休憩した。 - ミスを特別に許してあげること
例:今回の遅刻には目をつぶるが、次回から気をつけなさい。 - 死ぬこと
例:彼は、最期の言葉を伝えて目をつぶった。
「目をつぶる」は、単純に目を閉じるという意味だけでなく、比喩として「相手のミスを見逃してあげる」「永眠する」といった意味もあるのです。
「目をつぶる」と「片目をつぶる」は全く異なる言葉ですから、気をつけましょう。
「片目をつぶる」は単に、「片方の目を閉じること」という意味のみを表します。つまり、ウインクすることを指しています。
「目をつぶる」の他の表記
「目をつぶる」は、「つぶる」を漢字で表記して「目を瞑る」と表記することもあります。
ただし、「瞑」という字が常用漢字(※)ではないため、ひらがなで「つぶる」と書くことのほうが多いです。
常用漢字とは、国が制定した、社会生活での漢字使用の目安のことです。
公的な文書では、常用漢字の範囲内で漢字を使います。
「目をつぶる」と「目をつむる」の違いは?
「瞑る」には、「つぶる」「つむる」の二通りの読み方があります。
そのため、「目をつぶる」を「目をつむる」と表すこともできます。
しかし、一般的には、以下のように使い分けられています。
主な意味 | 比喩的な意味 | |
---|---|---|
目をつぶる | 目を閉じる |
|
目をつむる | ー |
つまり、比喩的な意味を表したいときには、「目を“つぶる”」のほうを使う人が多いのです。
ただし、この使い分けには明確な決まりがないため、比喩的な用法で「目を“つむる”」を使っても問題はありません。
「目をつぶる」の使い方
「目をつぶる」のそれぞれの意味に分けて、例文を紹介します。
- 目を閉じること
- ミスを特別に許してあげること
- 死ぬこと
1つずつ見ていきましょう。
使い方①目を閉じること
「目を閉じること」という意味での「目をつぶる」は、以下のように使うことができます。
- パソコンの画面を何時間も見続けて疲れたので、目をつぶって休憩した。
- 私は目をつぶり、彼女と初めて会った日のことを思い返した。
- なかなか眠れなくても、横になって目をつぶるだけでも疲れが取れます。
- 彼はいつも、写真を撮るときに目をつぶってしまう。
使い方②ミスを特別に許してあげること
「ミスを特別に許してあげること」という意味での「目をつぶる」は、以下のように使うことができます。
- 今回の遅刻には目をつぶるが、次回から気をつけなさい。
- この資料は改善の余地が多いものの、初めての仕事にしてはよく頑張っているので、目をつぶってあげよう。
- 今回の汚職事件は、長年の会社の体質に目をつぶってきた役員たちにも責任がある。
- 私の学校はお菓子の持ち込みが禁止されているが、今日はバレンタインデーなので、チョコレートの交換をしても、先生たちは目をつぶってくれた。
使い方③死ぬこと
「死ぬこと」という意味での「目をつぶる」は、以下のように使うことができます。
- 彼は、最期の言葉を伝えて目をつぶった。
- 私は、主人公が仲間に見守られながら目をつぶるシーンを観て号泣してしまった。
- 人生に後悔を残しながら目をつぶるのは嫌だ。
- 目をつぶる瞬間まで、精一杯生きていきたい。
「目をつぶる」の類義語
「目をつぶる」のそれぞれの意味に分けて、類義語を紹介します。
- 目を閉じること
- ミスを特別に許してあげること
- 死ぬこと
1つずつ見ていきましょう。
類義語①目を閉じること
「目を閉じること」という意味の類義語には、以下のようなものがあります。
- 瞼(まぶた)を閉じる
- 目(まなこ)を閉じる
- 瞑する(めいする)
- 目を覆う(おおう)
- 目をふさぐ
- 目隠しする
- 瞑目(めいもく)する
類義語②ミスを特別に許してあげること
「ミスを特別に許してあげること」という意味の類義語には、以下のようなものがあります。
- 大目(おおめ)に見る
相手のミスなどを厳しく責めずに、寛大に扱う - 目こぼしする
相手のミスなどをあえて見逃してあげること - 咎めない(とがめない)
責めない - 許す
認める - 見て見ぬ振りをする
気がついていながらも、気づいていない振りをする - 見逃す
気がついていながらも、気づいていない振りをする - 看過(かんか)する
見過ごすこと - 黙認(もくにん)する
暗黙のうちに許すこと - 不問(ふもん)にする
問題として取り上げないこと - 容認する
認めること - 容赦する
認めて許すこと - 目を背ける
直面すべき物事と向き合わないこと - 無視する
あるものを存在しないかのように扱うこと - 堪忍(かんにん)する
感情を我慢すること - 隠忍(いんにん)する
怒りなどをこらえること
類義語③死ぬこと
「死ぬこと」という意味の類義語には、以下のようなものがあります。
- 瞑する(めいする)
- 息絶える
- 亡くなる
- 息を引き取る
「目をつぶる」の対義語
「目をつぶる」のそれぞれの意味に分けて、対義語を紹介します。
- 目を閉じること
- ミスを特別に許してあげること
- 死ぬこと
1つずつ見ていきましょう。
対義語①目を閉じること
「目を閉じること」という意味の対義語には、以下のようなものがあります。
- 目を開く
- 目を開ける
- 目を見開く
対義語②ミスを特別に許してあげること
「ミスを特別に許してあげること」という意味の対義語には、以下のようなものがあります。
- 注意する
- 叱る
- 指導する
対義語③死ぬこと
「死ぬこと」という意味の対義語には、以下のようなものがあります。
- 生きる
- 生き返る
- 生き延びる
- 復活する
「目をつぶる」の英語訳
「目をつぶる」のそれぞれの意味に分けて、英語訳を紹介します。
- 目を閉じること
- ミスを特別に許してあげること
- 死ぬこと
1つずつ見ていきましょう。
英語訳①目を閉じること
「目を閉じること」という意味の英語訳には、以下のようなものがあります。
- close eyes
(目を閉じる)
例:Close your eyes, please.
(目を閉じてください。)
英語訳②ミスを特別に許してあげること
「ミスを特別に許してあげること」という意味の英語訳には、以下のようなものがあります。
- overlook
(相手のミスなどを見過ごしてあげて、良しとすること)
例:Mr.Burgess overlooked my mistake.
(バージェス先生は私のミスを見逃してくれた。) - let it go
(過ぎたことを責めたり、気にしたりしない)
例:Could you let it go this time?
(今回だけは大目に見てくれませんか?)
英語訳③死ぬこと
「死ぬこと」という意味の英語訳には、以下のようなものがあります。
- die
(死ぬこと)
例:He died in an accident.
(彼は事故で死んでしまいました。) - pass away
(亡くなる)
例:When did your grandfather pass away?
(あなたのおじいさんはいつお亡くなりになったのですか。)
「目をつぶる」のまとめ
以上、この記事では「目をつぶる」について解説しました。
読み方 | 目(め)をつぶる |
---|---|
意味 | ①目を閉じること ②ミスを特別に許してあげること ③死ぬこと |
類義語 | 瞼を閉じる 大目に見る 瞑する など |
対義語 | 目を開く 注意する 生きる など |
英語訳 | close eyes (目を閉じる) overlook (相手のミスなどを見過ごしてあげて、良しとすること) close eyes (目を閉じる) など |
「目をつぶる」は意味が複数あるうえに、使う場面も幅広いです。
生活のなかで「目をつぶる」を正しく使いこなしましょう。