「遺跡」と「遺構」と「遺物」の違いとは?意味から使い分けまで解説

違いのギモン

小学生の時、歴史の教科書の「縄文土器」や「前方後円墳」の写真を見て、古代人類の生活を想像したことはありませんか。1 万年以上前の生活の跡が土の中に眠っていたなんて、とてもワクワクしますよね。

土の中から発掘された場所やモノには、それぞれ名称があります。それが「遺跡(いせき)」「遺構(いこう)」「遺物(いぶつ)」です。

この記事では、この 3 つについて詳しく説明していきます。

結論:「遺構」と「遺物」は「遺跡」の中にある

「遺跡」は、人類の生活の痕跡が残っている場所のことです。

そして、遺跡の中で発見されたもののうち、移動させることが可能なものを「遺構」、不可能なものを「遺物」と言います。

つまり、「遺構」と「遺物」は「遺跡」の中にあるということです。

「遺跡」をもっと詳しく

「遺跡」とは、過去の人間が残した生活の痕跡を指す言葉です。

遺跡は、以下の 3 つのことを指します。

  1. 歴史上の有名な事件や、建物などがあった場所
  2. 人間が残した所領や地位、財産
  3. 人間の生活の痕跡が残っている場所

❶の「歴史的に有名な場所や建物」は、別名「古跡」または「旧跡」と言います。例えば、豊臣秀吉が天下統一の拠点として築いた大阪城や、広島にある原爆ドームなどです。

❷の「人間が残した所領や地位、財産」は、中世の日本で用いられた言葉で、遺跡 (ゆいせき) と読みます。中世の日本とは、1610 年代を指します。当時は、人間が残した土地や地位・財産に、残した人の名前を付けていました。

具体的には、「藤原某遺跡」「先祖遺跡」「亡父(ぼうふ)遺跡」といったものがあります。

❸の「過去の人間の生活の痕跡や場所」とは、人間の活動の跡が確認できる場所のことを言います。例えば貝塚や古墳、集落跡や神社跡などです。

 

特に「貝塚」は古代人類のゴミ捨て場であったため、日常の食料としていた貝や魚などの残滓 (ざんさい)と一緒に、破損した土器や石器などの生活道具も多く発見されています。

そして、❸の場所で発見されたものを、移動可能と不可能なものに分類したものが、「遺物」と「遺構」と言うことです。

「遺構」をもっと詳しく

「遺構」とは、動かすことができない人類の痕跡のことです。基本的には遺跡を構成する施設を指し、考古学では『残存する古い建築物。また、昔の都市や建造物の形や構造を知るための手がかりとなる残存物。』と定義されています。

考古学で言う遺構には、以下のものがあります。

  1. 生活に関わる遺構 : 建物跡、柱穴、井戸跡、カマド跡、貯蔵穴、トイレ跡など
  2. 生産に関わる遺構 : 水田跡、土器や石器の製作跡、製鉄遺構、製銅遺構、製塩遺構など
  3. 政治や軍事に関わる遺構 : 宮都跡、官衙 (役所) 跡、城柵跡、楼閣跡、城館跡など
  4. 交易や交通に関わる遺構 : 道路跡、港湾遺構、橋跡など
  5. 信仰に関わる遺構 : 寺院跡、神社や神殿跡、祭祀遺構、信仰にかかわる塚や祠、石碑など

 

一方で、考古学の対象になりにくい現代に近い過去における建造物の残存部分や、その構造全体のことも「遺構」と呼ぶこともあります。

「考古学」とは

考古学とは、人類が残したモノを研究して、生活や文明を明らかにする学問のことです。研究内容は発掘調査が中心で、主に発掘した遺跡や遺物の年代を特定するところから始まります。

遺跡から出土したものを研究する学問には、「層位(そうい)学」「型式(けいしき)学」の 2 つがあります。

「層位学」とは、土層の上下の位置から年代などを研究する学問のことです。遺跡の多くは、土の中から発掘されます。その理由は、洪水で流された土砂や人工的に盛られた整地などによって、遺跡の上に土が積もっていくためです。つまり、上にあるものほど新しい遺跡ということです。

「型式学」とは、遺跡から出土したものの形の変化を研究する学問のことを指します。

 

また、層位学と型式学を併用して、遺物などを年代順に並べることを「編年(へんねん)」と言います。

最近では、化学的方法により実年代を知る方法も研究されています。

「遺物」をもっと詳しく

「遺物」とは、動かすことが可能な人類の痕跡のことです。

一般的に「遺物」と言う言葉には、以下の 3 つの意味があります。

  1. 前の時代から残されたもの。
  2. 故人の残したもの。遺品。キリスト教では聖遺物と呼ぶ。
  3. おとしもの。遺失物。

人類の痕跡は、❶に該当しますが、❷❸と区別するため、一般的には「考古遺物」と呼ばれています。考古遺物は、考古資料の中でも遺跡から出土したものを指し、主に土器、石器、陶磁器、木器、骨角器、ガラス器、金属器、紙などのことを指します。

また、これらは破片や欠損品・未製品・半製品などの“不完全なもの”も含んでいます。

 

具体的には以下の例があります。

  • 食器などの調理具から貨幣まで、多岐に渡る生活道具
  • それらを作る過程で生まれる副産物、原料、使用する道具
  • 骨や貝殻などの動物遺体
  • トイレ遺構から発掘された排泄物などの有機物遺体
また、建物の柱材などの遺構の一部が、動かせるものに変化した場合は「遺物」に含まれます。

遺物は「人工遺物」と「自然遺物」に分類することができます。

人工遺物と自然遺物

人工遺物

人工遺物とは、人が作った遺物のことです。

英語で “artifact” と言います。具体的には、道具・衣類・装身具などのことです。

自然遺物

自然遺物とは、人の手が加わっていない遺物のことです。英語では、 “remain” と言います。例えば、種子・食べ残し・排泄物などがあります。

まとめ

以上、この記事では、「遺跡」「遺構」「遺物」の違いについて解説しました。

  • 遺跡:人類の生活の痕跡が残っている場所
  • 遺構:遺跡に痕跡のうち、動かせないもの
  • 遺物:遺跡にある痕跡のうち、動かせるもの

「遺跡」「遺構」「遺物」には、この様な違いがあります。私たちが今使っている携帯電話やパソコンも、遺物として博物館に展示される日が来るのかもしれません。