「平和」と「和平」。漢字の順序が逆な 2 つの熟語ですが、どちらも「争いがない」というような意味を持っています。
また、どちらも国際政治や法律の話題ではよく聞く言葉です。例えば、日本の憲法は 9 条の存在により「平和」憲法と呼ばれることがあり、イスラエルとパレスチナの「和平」交渉が進むかどうかは、世界中が注目しています。
そんな「平和」と「和平」が意味的にどのような違いがあるのかについて、今回は解説していきます。国際政治に関心がある人は、ぜひ最後まで読んでみてください。
結論:「平和」は争いのない状態。「和平」は「平和」への移行。
「和平」とは、争っている状態から、「平和」な状態に変化することです。
「平和」をもっと詳しく
「平和」とは、争いのない穏やかな状態のことです。より具体的には、戦争や紛争、災害などがない、平穏な状況であることを指します。「和平」との違いは、変化のない、安定した事実であるという点です。
「平和」の「平」には、「特別のことがない、穏やかな状態」という意味があります。また「和」には「争わない、仲良くする」という意味があります。「平和」は、構成する両方の漢字の意味を、そのまま取り込んでいるといえます。
「平和」は英語では “peace” といいます。
「平和会議」とは、紛争のない国家間で集まり、平和の維持について話し合う会議のことです。例えば、1899 年と 1907 年に行われた「ハーグ平和会議」などがあります。
「ハーグ平和会議」とは、各国の軍拡競争の中で、平和を維持するために開催された国際会議です。 1899 年には 26 カ国、 1907 年には 44 カ国が参加しました。結果として、毒ガスやダムダム弾(着弾するとはじけ、傷口が大きくなる弾)の禁止、事前通告なしの開戦の禁止などの規定が取り決められました。
また麻雀(マージャン)の役の 1 つで、順子(シュンツ)四組と対子(トイツ)一組であがることを「平和(ピンフ)」といいます。順子とは、同じ種類で連続した数の牌が 3 つあることで、対子とは、同じ牌が 2 つあることです。
「平和」の使い方の例
→平和は状態のことなので、「維持」という言葉と合わせるのは正しいです。
→常に争いがない状態を維持しようとする姿勢が「平和主義」です。
「和平」をもっと詳しく
「和平」とは、争いがなくなり、「平和」になることです。特に、武力行使を伴う戦争・紛争が終わるような場合に使用されます。「平和」との違いは、穏やかで争いのない状態への移行である、という点です。
また「気候が穏やか」という意味でも「和平」という言葉が使用されます。
どちらの意味も「平和」と同様に「平」「和」の 2 つの漢字の意味を含んだ漢字であるといえます。
「和平会議」は、今まで争っていた当事者間で行われるものであり、「平和」な状態にするために開かれる会議です。例えば、1991 年の「中東和平会議」は、湾岸戦争後に中東各国が集まって行われたもので、パレスチナ問題の解決に向け、話し合われました。
「和平」の使い方の例
→「和平」は「平和」への変化を意味します。
まとめ
以上、この記事では、「平和」と「和平」の違いについて解説しました。
- 平和:争いのない状態のこと
- 和平:争っている状態から、「平和」への変化のこと
「平和」と「和平」は、漢字の順序を入れ替えただけの熟語ですが、意味合いは変わってきます。なかなか正確な意味を知っている人は少ないと思いますが、知っていればニュース等で見かけたときに、事実を正確に理解することができます。
例えば、「平和会議」か「和平会議」という違いを理解するだけで、会議に参加している国の関係性がなんとなく読み取れると思います。きっと役に立つ知識なので、ぜひ覚えておいてください。