「卵が先か鶏が先か」とは「どちらが先かわからないこと」という意味です。
ビジネスシーンなどで例えとして使うこともあるため、正しい使い方を知りたい方も多いのではないでしょうか。
そして、結局、卵が先なのか鶏が先なのか、結論はどっちなのか気になりますよね。
そこで、この記事では「卵が先か鶏が先か」の意味や由来、結論や使い方まで詳しく解説します。
☆「卵が先か鶏が先か」をざっくり言うと……
読み方 | 卵(たまご)が先(さき)か鶏(にわとり)が先(さき)か |
---|---|
意味 | どちらが先かわからないこと |
類義語 | 堂々巡り いたちごっこ 水掛け論 など |
英語訳 | chicken and egg (どちらが後か先か分からない) a chicken or egg situation (卵が先か鶏が先か) chicken and egg problem (鶏と卵の問題) |
このページの目次
「卵が先か鶏が先か」の意味
どちらが先かわからないこと
例:「卵が先か鶏が先か」のように、考えれば考えるほどわからなくなる問題はよくある。
「卵が先か鶏が先か」は、「問題が矛盾して、どちらが先なのかわからない」という意味です。
例えば、以下のように矛盾する問題の例えとして使います。
- 給与と人材
給与が低いから人材が集まらず、利益を出せない
利益がないから給与を出せず、人材が集まらない
上記の問題では、「給与が低いこと」と「人材が集まらないこと」のどちらが先に生じた問題なのかわかりません。
このような場合に「どちらが先かわからないこと」を表すのが、「卵が先か鶏が先か」なのです。
「卵が先か鶏が先か」の具体例
「卵が先か鶏が先か」の具体例には、他にも以下のようなものがあります。
- 駅と利用客
利用客が少ない駅だから、店がない
店がない駅だから、利用客が少ない - 親と子供
親が面倒を見過ぎるから、子供が自立しない
子供が自立しないから、親が面倒を見てしまう
「卵が先か鶏が先か」の表記
「卵が先か鶏が先か」は、以下のように表記することもあります。
- 鶏が先か卵が先か
卵と鶏が逆ですが、意味は同じです。
「卵が先か鶏が先か」の由来
「卵が先か鶏が先か」の由来は、卵と鶏の関係性です。
鶏と卵のどちらが先にあるのか考えると、以下のような矛盾が生じます。
- 鶏が先の場合
鶏は卵から生まれるから、卵がないとおかしい - 卵が先の場合
鶏がいないと卵は生まれないから、鶏がいないとおかしい
このことから、「卵が先か鶏が先か」は、鶏が先に生まれたのか、卵が先に生まれたのかわからないように、どちらが先かわからないことを表します。
「卵が先か鶏が先か」の結論
「卵が先か鶏が先か」の問題は、学問や思想によって結論が異なります。
そのため、テレビや新聞などで論じられることも多いです。
結論 | |
---|---|
遺伝学 | 卵が先 |
進化生物学 | 卵が先 |
生化学 | 鶏が先(卵が先のこともあり) |
統計学 | 卵が先 |
神学 | 鶏が先 |
仏教 (循環時間論) | どちらでもない |
それぞれの結論を見ていきましょう。
遺伝学
遺伝学的な結論は、卵が先です。
なぜなら、鶏の祖先から鶏に進化した時に、最初の鶏のDNAをもつ卵が存在するからです。
進化生物学
進化生物学的な結論は、卵が先です。
鶏の祖先が鶏に時間をかけて進化する過程で、突然変異として、鶏に生まれる卵が生じたとするからです。
生化学
生化学的な結論は、鶏が先です。
なぜなら、卵を形成するためのOV-17というタンパク質が、鶏の卵巣にあることが発見されたからです。
しかし、一方で「OV-17をもつ鶏はどのように生まれたのか。OV-17をもつ鶏が生まれるためには卵がないとおかしいから、卵が先である」という説もあり、研究は続いています。
統計学
統計学的な結論は、卵が先です。
1930年から1983年のアメリカにおける鶏の飼育数と卵の生産量を調査した結果、以下のような結果になったからです。
- 卵の時系列が持つ情報から、鶏の飼育数を予測することは可能
- 鶏の飼育数から、卵の数を予測することは不可能
「卵の数から鶏の数を予測することはできるが、鶏の数から卵の数を予測することはできない」ため、卵が先に生まれたと結論づけました。
神学
神学的な結論は、鶏が先です。
ユダヤ教とキリスト教の教典である『創世記』には以下のような文章があります。
夕となり、また朝となった。第四日である。神はまた言われた、「水は生き物の群れで満ち、鳥は地の上、天のおおぞらを飛べ」。神は海の大いなる獣と、水に群がるすべての動く生き物とを、種類にしたがって創造し、また翼のあるすべての鳥を、種類にしたがって創造された。神は見て、良しとされた。神はこれらを祝福して言われた、「生めよ、ふえよ、海の水に満ちよ、また鳥は地にふえよ」。
つまり、神が動物を創造し、動物に「増えろ」と命じました。
この考えに基づくと、「卵よりも鶏が先」という結論になります。
仏教(循環時間論)
仏教的な結論は、鶏でも卵でもありません。
仏教には、時間は循環しており、歴史は繰り返されるという「循環時間論」と呼ばれる考え方があります。
この考えに基づくと、時間は永遠であり、最初も最後もないことになります。
そのため、「鶏が先でも卵が先でもなく、この矛盾そのものに意味がない」という結論になります。
「卵が先か鶏が先か」の使い方
「卵が先か鶏が先か」は、どちらが先かわからない時の例えとして使います。
例文を見てみましょう。
- 卵が先か鶏が先かわからないけれど、姿勢が悪いと腰が痛くなるのは事実だ。
- 「卵が先か鶏が先か」のように、考えれば考えるほどわからなくなる問題はよくある。
- 僕はずっと、「卵が先か鶏が先か」のように結論の出せない問題に悩んでいた。
「卵が先か鶏が先か」の類義語
「卵が先か鶏が先か」には以下のような類義語があります。
- 堂々巡り
同じような思考や議論が繰り返され、少しも先に進まないこと - いたちごっこ
双方が同じことを繰り返して決着がつかないこと - 水掛け論(みずかけろん)
双方が互いに自説にこだわって解決しない議論 - 不毛な議論
何の収穫もない話し合い - 平行線をたどる
両者の意見などがいつまでも対立していること - 循環参照
数式で、いくつかの変数が互いの数値を参照しようとしてエラーとなること
「卵が先か鶏が先か」の英語訳
「卵が先か鶏が先か」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- chicken and egg
(どちらが後か先か分からない) - a chicken or egg situation
(卵が先か鶏が先か) - chicken and egg problem
(鶏と卵の問題)
他の外国語訳
「卵が先か鶏が先か」は、英語以外でも以下のように表現されます。
言語 | 表現 |
---|---|
イタリア語 | E’ nato prima l’uovo o la gallina? |
スペイン語 | El huevo o la gallina |
中国語 | 先有鸡还是先有蛋 |
「卵が先か鶏が先か」のまとめ
以上、この記事では「卵が先か鶏が先か」について解説しました。
読み方 | 卵(たまご)が先(さき)か鶏(にわとり)が先(さき)か |
---|---|
意味 | どちらが先かわからないこと |
類義語 | 堂々巡り いたちごっこ 水掛け論 など |
英語訳 | chicken and egg (どちらが後か先か分からない) a chicken or egg situation (卵が先か鶏が先か) chicken and egg problem (鶏と卵の問題) |
「鶏が先か卵が先か」については、人それぞれの考えがあります。
どちらだと思うか、議論すると面白そうですね。