「始め」と「初め」の違いとは?意味や使い方から英語まで解説

違いのギモン

何かが動き出して間もない頃の段階を「はじめ」と言いますが、「はじめ」には「始め」と「初め」の 2種類があります。皆さまは、両者の違いをご存知でしょうか。

今回は「始め」と「初め」の違いについて、英語訳も含めて解説します。

結論:「始め」は物事が開始されてすぐ、「初め」は時間的に早い段階

「始め」とは、物事が開始されて間もないことを指します。

一方、「初め」とは時間的または時期的に早い段階のことを指します。

「始め」をもっと詳しく


「始め」とは、何かが開始されてから間もないことを指します。英語では “start” や “beginning” と言います。

後に解説する「初め」と違い、年月などの時間的な言葉に対してでなく、物事が起こり出す時に使われる言葉です。たとえば、「走り始め」などのように使われます。

「始め」と言う場合は、「始め」という言葉の前に、何らかの動詞を補うことができるのです。物事の開始時点のみにフォーカスしています。

「始め」の使い方の例

  1. 物事は、やり始めの時期が肝心だ。
  2. 人類の始めについての研究が盛んに行われている。
  3. 講演会の始めには、主催者からの挨拶がある。
①~③のすべてにおいて、「始め」の前に動詞を補うことができます。

①では、「やり」出す時を「始め」と言っています。

②では人類が「起こり」出す時を、③では講演会を「開く」瞬間を「始め」と表現しています。

「始め」の英語での使い方

英単語 “start(開始、着手)” や “beginning(開始)” を用いた例文は以下の通りです。

例文
  • My teacher always says that a good beginning makes a good ending.
    (私の先生は、物事はやり始めが肝心だといつも言っている。)
  • At the start of a test, you should write your name on the answer sheet soon.
    (テストの始めには、すぐに名前を書きなさい。)

2つの例文とも、「物事をやる」や「テストを解く」という行為に対して、その開始する瞬間を「始め」と言っています。

「初め」をもっと詳しく


「初め」とは、時間的もしくは時期的に早い段階のことを指す言葉です。英語では “first” や “early” と言います。

「初め」は、「始め」と違い、時間や時期を指す言葉に対して使われます。たとえば、「月初め」や「年初め」という表現があります。

また、「初め」には順序の 1番先という意味もあります。この意味では、たとえば、「初めの章」などの使い方があります。物事を塊ごとに区切ったときの最初の部分というイメージです。

時間や空間など、何らかの塊が与えられた上で、最初の部分にフォーカスするのが「初め」なのです。

「初め」の使い方の例

  1. 月の初めにいつも気持ちを改める。
  2. 初めは彼のことがそんなに好きではなかった。
  3. この本は、初めの方は面白かった。
①は、「月」という時間の中で最初の方を「初め」と言っています。

②では、「彼と関わる時間」という 1つの期間を想定した時、その最初の部分が「初め」と表現されています。

③では、「本」という1つの完結した枠の中において、その最初の部分を指すため「初め」が適しています。

「初め」の英語での使い方

英単語 “first(最初)” や “early(最初の頃)” を用いた例文は以下の通りです。

例文
  • I didn’t like him that much at first.
    (初めはそこまで彼が好きではなかった。)
  • I will meet him early in September.
    (9月の初め、彼に会いに行くつもりだ。)

2つの例文とも、「彼と関わる時間」や「9月」といったまとまった期間を想定した上で、その中の最初の部分に主点を当てているのがわかります。

“at first” は時間的に最初の頃を指す表現としてよく使われるため、押さえておきましょう。

また、”beginning” も「初め」の英語訳として使われることがあるため、こちらも覚えておきましょう。(ex.the beginning of September(9月の初め))

紛らわしい表現

物事の開始が「始め」で、時間的に早かったり順序が先だったりすることが「初め」ですが、中には紛らわしい表現があります。

たとえば、新年最初の仕事を意味する「仕事はじめ」という言葉があります。順序としては 1番先を指しているため「仕事初め」と書きたくなりますが、正しくは「仕事始め」です。これは、仕事という物事が開始されることを指す言葉だからです。結果として、新年最初の仕事という意味になります。

また、「はじめから終わりまで」と言う場合は、文脈によって「始め」と「初め」のどちらも使えます。人との出会いに例えると、友達付き合いが開始されることを指す場合は「始め」を、最初に出会った頃を言及するなら「初め」を用います。

まとめ

以上、この記事では、「始め」と「初め」の違いについて解説しました。

  • 始め:物事が開始されて間もない段階
  • 初め:時間的または時期的に早い段階

「始め」と「初め」はニュアンスが極めて似ており、使い分けに迷ってしまいがちです。物事の開始について言及したいのか、それとも時間的に早いことを言及したいのかを意識すれば上手く使い分けられるでしょう。