ワイシャツとカッターシャツは「呼ばれている地域」が異なります。
他にもいくつかの呼び分けがありますが、基本的には同じもののことを指しており、主に地域によって呼び名が分かれています。
「ワイシャツ着用」「カッターシャツ着用」などの服装指定を見て、何を着ればいいのか迷った方も多いのではないでしょうか。
ここではワイシャツとカッターシャツの違いに加え、シャツの選び方や、着こなしのマナーなどについても解説します。
このページの目次
「ワイシャツ」と「カッターシャツ」の違い
- ワイシャツ
東日本での呼び方 - カッターシャツ
西日本での呼び方
画像で例を示すと、このようなシャツになります。
カッターシャツはもともとスポーツメーカーであるミズノの商品名でした。
ミズノは本社が大阪にあったため、西日本を中心に「カッターシャツ」と呼ばれるようになりました。静岡県や長野県、新潟県のあたりが境となっています。
他にも、以下の呼び分けの説がありますが、どれも一部の地域に限られています。
- 社会人用はワイシャツ
学生用はカッターシャツ - 襟(えり)とカフスの取り外しができるのがワイシャツ
できなければカッターシャツ - 公式の場で着るのがワイシャツ
カッター競技のユニフォームで着るのがカッターシャツ
「ワイシャツ」と「カッターシャツ」の特徴
ワイシャツやカッターシャツには、以下のような特徴があります。
- 襟がある
首回りの細長い布の部分のこと - 台襟がある
襟の土台となる、首回りを覆う部分のこと - カフスがある
袖口の布のこと - 前立てがある
シャツの前ボタンの部分についている帯状の布のこと
「ワイシャツ」の由来
ワイシャツの名前の由来は諸説ありますが、「ホワイトシャツ(white shirt)」のネイティブの発音を「ワイシャツ」と聞き間違えたことが由来だとされています。
他にも以下のような説はありますが、どれもあまり主流ではありません。
- 襟の部分がY字に見える
- 襟を外した形がYに見える
石川清右衛門はワイシャツについて学び、その後自作し、日本で初めてワイシャツ店を開店しました。
そのことがきっかけで、ワイシャツは日本に広まっていきました。
ワイシャツは “white shirt” 、つまり白いシャツという言葉であるため、「青いワイシャツ」という表現は英語圏では通じません。
「カラーシャツ」と呼びましょう。
ワイシャツは、もともと欧米では肌着でした。パンツとしての役割も持っていたため、ワイシャツがズボンの中に入れる長さなのはこの名残だと見られています。
現在では欧米でも普段着として使用するようになっています。
しかし、もとは肌着であるため、フォーマルの場ではワイシャツ姿になることは好まれないこともあります。
また、もともとが肌着ゆえに、胸ポケットのあるワイシャツはワイシャツというよりもカジュアルなデザインシャツとみなされています。
「カッターシャツ」の由来
カッターシャツの名前の由来も諸説ありますが、「勝った」をもじったものだという説が有力です。
他にも以下のような説はありますが、どれもあまり主流ではありません。
- カッターという種目の競技大会で正式着用された
- 英語のcutter(裁断師)からつけられた
ミズノ公式トリビアページには、以下のように書いてあります。
「カッターシャツ」という商品名に至ったエピソードをご紹介します。 ある日、ミズノの創業者・水野利八は、新発売する襟付きシャツの商品名を何にしようか、悩んでいました。
良いアイデアが思い浮かばないまま、利八は大好きな野球の試合を観に行きます。
試合が終わると、「勝った!勝った!」と声をあげて喜ぶ観客の姿を何度も目にしました。そこで、利八はひらめきます!
「勝ったー、勝ったー、カッター、カッターシャツ。縁起も良いし、これでいこう!」
こうして、襟付きシャツを 「カッターシャツ」と名付けて販売しました。 当時の学生たちの間で、とても評判になったようです。
[出典:ミズノ]
また、当時の商品画像は以下のようなものでした。
[出典:ミズノ]
このとき、カッターシャツは「ハイキングに、テニスに、事務用に」と言われるほど、スポーツ用の商品とされていました。
補足:ワイシャツを選ぶためのポイント
ワイシャツを選ぶときに大事になるポイントには、以下のようなものがあります。
- サイズ
- 襟の形
- 生地素材
- 色と柄
- カフスボタン
- インナーの有無や種類
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ポイント①:サイズ
1つめのポイントは、サイズです。
シャツはフォーマルなシーンで着用することが多いため、くたびれた印象は与えない方が良いです。
自分の体型に合うシャツを選ぶことで、シワを減らし、パリッとした印象で着用することができます。
ワイシャツを選ぶ際にチェックしたいサイズは、「首回り」と「裄丈」の2つです。
[出典:紳士のシャツ]
この2つを基準にすることで、自分の体型に合うシャツを選ぶことができます。
ポイント②:襟
2つめのポイントは、襟です。襟とは、シャツの首周りにあたる部分です。
襟にも以下のようにさまざまなタイプがあり、シーンにより使い分けられるとより良いです。
名前 | 襟の角度の開き | スタイル |
---|---|---|
レギュラーカラー | 75〜90° | 最も一般的なスタイル |
セミワイド(ワイド) | 100〜120° | クラシックなスタイル |
ホリゾンタル ※カッタウェイとも | 180° | ノーネクタイでも綺麗に |
ボタンダウン | 90〜100° 襟先をボタンで留めている | カジュアルなスタイル |
また、イタリアンカラーと呼ばれる、台襟がないスタイルもあります。
こちらは立体感と美しいフォルムが特徴で、フェミニンで華やかな印象を与えるため、ノーネクタイなどともよく合います。
ポイント③:生地素材
3つめのポイントは、生地素材です。
素材にも綿やシルク、ポリエステルなど、さまざまなものがあります。
多くの素材はアイロンをかけないとシワになってしまいますが、その中でシワになりにくいのは「形状安定加工のシャツ」と「ニットシャツ」です。
日常使いのシャツを選ぶときは、シワになりにくいものを選ぶと、アイロンの手間が省けます。
アイロンは生地によっては傷んでしまう可能性があるため、かける前にはタグを必ず確認しましょう。
アイロンをかけること自体は可能でも、温度やスチーム機能の可否などによっては生地を痛めてしまいます。
また、形状安定加工のシャツの中でも、綿の割合が多いシャツはシワがややできやすいです。
ポイント④:色と柄
4つめのポイントは、色と柄です。
色は白や青、柄は無地またはストライプが定番です。
白の無地をベースとし、状況や気分に応じて青色やストライプを中心に色柄ものを数枚持っておく、というのが定番になっています。
また、ピンクは白や青よりもさらにカジュアルに着たいときに適しています。
ポイント⑤:カフスボタン
5つめのポイントは、カフスボタンです。カフスボタンとは、袖周りを留めるボタンです。
パーティーなど華やかなシーンでは、カフスボタンをつけてシャツに華やかさをアップすると良いです。
その場合は、カフスボタンを使用できるコンバーチブルタイプ(両方にボタンホールがあり、片方にボタンがついているタイプ)のシャツがおすすめです。
ダブルカフスという、カフスボタンで留める前提のシャツもありますが、商談など着用シーンによってはカフスボタンは華やかすぎるため、コンバーチブルタイプだと普段使いもできて便利です。
ポイント⑥:インナーの有無や種類
6つめのポイントは、インナーの有無や種類です。
シャツの中に着るインナーにもいくつか種類があります。
形はUネックとVネックの二種類が定番ですが、シャツの第一ボタンを開ける可能性がある場合は、開けても見えないVネックが適しています。
色は白の無地だと清潔感が出ます。グレーやベージュだと、ワイシャツに透けにくくなる効果もあります。
もしワイシャツの下に肌着を着ないのであれば、ワイシャツを「オックスフォード地」という厚手のものに変えると良いでしょう。
「ワイシャツ」と「カッターシャツ」の違いのまとめ
以上、この記事では、「ワイシャツ」「カッターシャツ」の違いについて解説しました。
- ワイシャツ
東日本での呼び名 - カッターシャツ
西日本での呼び名