多くの人は「GDP」や「GNP」といった言葉を聞いたことがあると思います。そして、最近ではアベノミクスのなかで一人当たりの「GNI」を10年で150万円増やすという目標が掲げられました。
このように、私たちになじみが深い「GNP」や「GDP」や「GNI」といった言葉ですが、その正確な意味をきちんと理解している人はあまりいないのではないでしょうか。
そこで、今回は「GNP」と「GDP」と「GNI」の違いについて解説していきたいと思います。
結論:違う指標
まず、「GNP」は “Gross National Product” の略で「国民総生産」と訳されます。
次に、「GDP」は “Gross Domestic Product” の略で、「国内総生産」と訳されます。
そして、「GNI」は “Gross National Income” の略で、「国民総所得」と訳されます。
「GNP」の定義を詳しく
GNPは “Gross National Product” の略で「国民総生産」と訳されます。
これに含まれるのはその国の国民です。なので、国内に限らず、日本企業の海外支店の所得も含んでいます。
そして、これは以前は日本の景気をはかる指標として使われていました。
ただ、現在日本の景気をはかる指標として使われているのはGDPです。
それは、グローバル化により海外に在住する日本人が増え、国民総生産では日本そのものの経済状況が見えにくくなってしまったからです。
ちなみに、ここで言う国民とは、「その国に半年以上居住している人」のことです。また、たとえ日本国籍を持っていても、2年以上海外で暮らしている人は計算の対象から外れます。
そして、GNPはGDPと似ているようにも見えますが、GNPでは海外からの純所得が含まれていて、GDPでは含まれていない点が違います。
ちなみに、純所得とは所得から税金などを引いた純粋な所得のことです。
例えば、日本に住んでいる日本人がアメリカの企業に勤めていて給料をもらっている場合、これはGNPには含まれますがGDPには含まれません。
「GDP」の定義を詳しく
GDPは “Gross Domestic Product” の略で、「国内総生産」と訳されます。
これは、国内で一定期間内に生産されたモノやサービスの付加価値の合計額のことです。
ちなみに、付加価値とは経済界では生産過程で新たに付け加えられる価値のことです。
例えば、パン屋さんが小麦粉などを買ってきてパンを作り、それを販売した場合、その販売額が付加価値ということになります。
そして、GDPは国内の総生産なので、日本企業が海外支店で生産したものは含まれません。
これは、国内の景気を正確に反映しやすいという特徴があります。
「GNI」の定義を詳しく
GNIは “Gross National Income” の略で、「国民総所得」と訳されます。
そして、これは一定期間内に国民が受け取った所得の合計のことを表しています。
ただ、その値はGNIとほとんど同じになります。
なぜなら、三面等価の原則により、付加価値の合計と所得の合計と支出の合計は同じ値になるからです。
ちなみに、GNIがGNPに変わって導入された理由は、最近では仕事の内容や働きかたが多様になり、国外からの所得が増加したからです。
これにより、どこで誰が金を得たかが重要になってきたのです。
まとめ
以上、この記事では、「GNP」と「GDP」と「GNI」の違いについて解説しました。
- GNP: “Gross National Product” の略で「国民総生産」のこと
- GDP: “Gross Domestic Product” の略で、「国内総生産」のこと
- GNI: “Gross National Income” の略で、「国民総所得」のこと
「GNP」と「GDP」と「GNI」にはこのような違いがあったんですね。これに着目してニュースを見てみると面白いかもしれません。