日本語には「同音異義語」がたくさん存在しますよね。同音異義語というのは、同じ読みでも意味が違う言葉のことです。
今回はその中の「利く」と「効く」の違いについて解説します。
結論:効果と機能の違い
それに対して「利く」は主に機能がうまく働いている様子を表しますが、その他にも幅広い用法があります。
「効く」について
「効く」は効果、効能などの熟語の通り、「作用・効果が表れる」という意味で使います。
例文:薬が効く、ボディーブローが効く
「効く」の意味として「望み通りの良い効果が表れること」と書かれている場合もありますが、もちろん悪い効果が出てしまった場合でも使うことができます。上の「ボディーブローが効く」というのがその例です。
「利く」について
「利く」の辞書的な意味は複数あります。
- 機能が働くこと
- 可能であること
- 機敏に機能すること
- 言葉を発すること
「効く」が効果や結果を表すのに対して、こちらは本来の機能がうまく働いている様子を表します。
➊~➌は少し紛らわしいので例文と一緒に見ていきましょう。
「鼻が利く」というのは➊の用法です。鼻が本来持っている嗅覚という機能がうまく働いている様子を表します。
「融通が利く」は➋の用法になります。辞書的には「場に応じて適切に対応できること、臨機応変にその場にあった処置ができること」の意味で、可能という意味で使われています。
➌は➊と似ていますが、例えば「腕が痺れて利かない」などというときには「腕が機敏に動かない」という意味になりますよね。
➍はほとんど「口を利く」の用法でしか使わないため「効く」との使い分けは簡単でしょう。
例外的な使い方
それぞれの意味について簡単に説明しましたが、「絶対にこっち!」と決まっていない用法や、どちらも使えるけれど、どちらを使うかによって意味が変わる場面もあります。
例えば「わさびがきく」この場合の「きく」はどちらを使えばいいかわかりますか?
正解は「どちらも使える」です。
わさびの辛味、風味、パンチなどは機能の意味にも効果の意味にも取れますよね。
「わさびが効く」は、味をみたらわさびの風味という効果が表れていたという意味、「わさびが利く」はわさびの調味料としての機能が働いていたという意味になります。少しニュアンスは変わりますがどちらでも使えてしまうのです。
この場合はどちらを使ってもいいですし、ひらがなで表記しても構いません。ただし、わさびを薬のような使い方をしている場合は「効く」を使ったほうが適切でしょう。
まとめ
この記事では「効く」と「利く」の使い方の違いについて説明しました。
- 効く:効果について表すときに使うもの
- 利く:機能についてや可能かどうかを表すときに使うもの
これでもう二つの違いを間違えることはありませんね。慣用句のように「絶対にこっち」と決まっている用法も多いので辞書で例文を見てみるのもいいでしょう。