「ジプシー」とは?意味からたとえとしての使い方まで例文付きで解説

言葉

ジプシーとは「ヨーロッパで生活する移動型民族」のことです。

移動型民族と聞いても、どんな人々のことなのかピンと来ない人が多いのではないでしょうか?

この記事では、ジプシーという言葉だけでなく、その特徴についてもスッキリ解説しています。

☆「ジプシー」をざっくり言うと……

英語表記ジプシー
意味ヨーロッパで生活する移動型民族
語源エジプシャン(Egyptian)から

「ジプシー」の意味

ジプシー

インドを原郷とし、ヨーロッパで生活する移動型民族

ジプシーは、「ヨーロッパで生活する移動型民族」のことで、英語の “gypsy(ジプシー)” がもとになっています。

インド北部で生活していた小規模な民族であり、次第にヨーロッパ地方を中心に南・北アメリカを含め世界各地に点在するようになりました。

馬の飼育、食材や用品の売買、かご作り、また占いなどをしながら、点々と移動していることから、次々に色々なものを試したり乗り換えたりする人のことをジプシーと言うこともあります。

ジプシーは、「褐色の肌に黒髪」が特徴であり、現在の人口は約800万人ほどだとされています。

また、ジプシーという名前は周囲の人々が付けた「外名」であり、かつては「流浪の民」という名でも呼ばれていました。

差別用語としての「ジプシー」

ジプシーは、差別用語として使われることがあります。

ジプシーは、「ヨーロッパの移動型民族」を指す言葉ですが、実際には「スリをする民族」「物乞いをする人たち」というニュアンスが含まれることがあるのです。

これは、ジプシーが定住しないことから、近隣諸国によって迫害されていたという背景が関係しています。

しかし、最近ではジプシーは「差別用語」、また「放送禁止用語」と認識する風潮が高まり、差別的な表現を避けるという意図から「ロマ」という言葉に置き換えることが多くなりました。

「ジプシー」と「ロマ」

ジプシーの同義語として「ロマ」があります。

「ロマ」はジプシーに分類される民族のうち、一部の人々の自称であり、「ロム(rom)」「ロマニー(romany)」とも呼ばれています。

「ロマ」と「ジプシー」の意味に大きな違いはありませんが、「自称」か「外名」かという点では、「ロマ」の方がより無難だと言えます。

また、ジプシーが使用する言語のことを「ロマー二語」と言います。

「ジプシー」の使い方


ジプシーは、単独で用いたり、「ジプシーダンス」「ファッションジプシー」のように他の言葉と組み合わせて使ったりします。

ジプシーを用いた言葉には、以下のようなものがあります。

「ジプシー」を用いた言葉
  1. ジプシーダンス
  2. ジプシースカート
  3. ジプシージャズ
  4. ジプシークイーン
  5. ジプシータトゥー
  6. 公園ジプシー
  7. コスメジプシー
  8. ファッションジプシー
それぞれの語の使い方を例文と一緒に見ていきましょう。

ジプシーダンスについて

「ジプシーダンス」は、短い旋律が特徴的な独特な踊りのことです。

スローテンポな踊りではなく、「フラメンコ」のように軽快なリズムに乗って激しく踊るダンス・スタイルのことを指しています。

例文
妻が、老後の趣味にジプシーダンスを習い始めた。

ジプシースカートについて

「ジプシースカート」とは、ジプシーの女性がはくスカートのことです。

また、ジプシーの女性がはいているスカートに似たデザインのスカートのことを指します。

主に、丈が長めでギャザーやフリルが多めの多段になっているデザインのものを呼びます。

例文
ジプシースカートは、ジプシーダンスを踊るのに適したデザインになっている。

ジプシージャズについて

「ジプシージャズ」は、「スウィングジャズ」「ジャズマヌーシュ」とも呼ばれ、ジプシーたちが1930年頃から「アメリカンジャズ」に感化されて作り上げた楽曲のことです。

例文
ジプシージャズは、ギターの演奏が魅力的な楽曲だ。

ジプシークイーンについて

ジプシークイーンは、鮮やかな朱色の花を咲かす「ベコニア」という花の一種です。

また、中森明菜さんの楽曲にも「ジプシークイーン」というものがあります。

例文
ジプシークイーンは、秋ごろに大きな紫色の花を咲かせるとてもきれいな花だ。

ジプシータトゥー

ジプシータトゥーは、ジプシーの少女の横顔などをモチーフにしたタトゥーのことです。

ジプシーは、移動型民族というアウトローなイメージから、あこがれの対象になることもあるようです。

例文
彼女の手首にある、ジプシータトゥーはとてもかわいらしい。

公園ジプシー

「公園ジプシー」は、まだ小学校に入っていない子供を持っている母親が使う言葉です。

昼間の公園には、小学生に入る前の子供を抱えた親子がいることがあります。

しかし、そうした親子のコミュニティーに馴染めず、いろいろな公園を渡り歩くことになってしまった母親が自分のことを「公園ジプシー」と呼ぶことがあります。

また、気に入った公園がなかなか見つからない人という意味で使用する場合もあります。

例文
この地域に引っ越ししてきたばかりのため、公園ジプシーになってしまった。

コスメジプシーについて

コスメジプシーとは、「化粧品などを頻繁に変える人」を意味する言葉です。

コスメジプシーになる人には、「肌に合わない」「試してみたが似合わない」などの理由があります。

例文
彼女は化粧品がなかなか合わず、コスメジプシーをしている。

ファッションジプシーについて

ファッションジプシーとは、「服装の種類やカテゴリーを頻繁に変えてしまう人」を意味する言葉です。

ファッションジプシーも、コスメジプシーと同様に自分に何が似合うのかわからない、何を着たらいいのかわからないという理由があります。

例文
ファッションジプシーな彼女は、毎週新しい服を買いに出かける。

「ジプシー」の語源


ジプシーは、「エジプシャン(Egyptian)」のEの音が薄れた「ジプシャン」が語源です。

これは、かつてフランスに到着したジプシーたちが「私達はエジプトからやってきた」と話したことから、「エジプシャン(Egyptian)=エジプト出身者」と呼ばれていたことに由来します。

一方で、ジプシーは、スペイン語では「ヒタノ」、ドイツ語では「ツィゴイネル」と呼ばれています。

ヨーロッパ国内でも呼び方が異なるため、国によってはジプシーの意味が通じないこともあるかもしれません。

「ジプシー」のまとめ

以上、この記事ではジプシーについて解説しました。

英語表記ジプシー
意味ヨーロッパで生活する移動型民族
語源エジプシャン(Egyptian)から

ジプシーは差別用語とされることもあり、最近では聞く機会の少ない言葉かもしれません。

しかし、「次々に色々なものを試したり乗り換えたりする人」の意味で使われることもあることから、意味や使い方をしっかり確認しておきましょう。