「鉄筋」と「鉄骨」の違いは?「木造」との差や防音性について解説

違いのギモン

鉄筋と鉄骨は「使われている素材や組立方」が異なります。

アパートなどを探していると「鉄筋造」「鉄骨造」という言葉を見かけたことがある人は多いのではないでしょうか。

専門的な言葉であるため、詳しい意味や違いはなかなか分からないですよね。

この記事では、鉄筋と鉄骨の違いや防音性、木造との差について分かりやすく解説しています。

「鉄筋」と「鉄骨」の違い

鉄筋と鉄骨は、使われている素材や建設の際の組み立て方に違いがあります。

それぞれ以下のような違いがあります。

「鉄筋」について
  • 組み立て
    鉄をコンクリートの中の補強材として使用する
  • 素材
「鉄骨」について
  • 組み立て
    鉄を建造物の骨組みとして使用する
  • 素材
    鉄、銅
また、鉄骨は鉄筋と異なり、比較的大きな部材を使用します。

また、不動産を調べている際に、「鉄筋造」という表記を見かけることがありますが、これは誤用です。

正確には、「鉄筋コンクリート造」が正しい表記であり、「鉄筋造」はよくある誤用であるため注意が必要です。

「鉄筋」の意味

鉄筋は、コンクリートの建造物の中に補強として入れる鉄材のことを指します。

鉄筋は、鉄製の細長い棒であることから、張力に弱いコンクリートに埋め込むことで、壊れにくくする効果があります。

△鉄筋

また、この「コンクリート」と鉄骨とを組み合わせて作られた建造物の構造のことを「鉄筋コンクリート造」といいます。

「鉄筋コンクリート造」は「RC(Reinforced Concrete)造」とも言い、「補強されたコンクリート」という意味があります。

「鉄筋コンクリート造」は「鉄骨造」に比べて耐久性に優れ、耐火性や遮音能力にも優れています。

一方で、それらの特徴のため建築のコストが高いことや通気性が悪いこと、解体の際にもその頑丈さゆえにコストが大きくなるといったデメリットもあります。

「鉄骨」の意味


鉄骨は、建造物の製造の際に骨組みに用いる鉄材のことを指します。

型鋼、鋼板、平板などを接合してつくられた骨組みであり、建築費用、耐震性、耐火性、耐用年数、遮音性、デザインのなどの点で、自由度が高いことが特徴です。

△鉄骨

また、この鉄骨を建造物の構造にメインに使った建造物のことを「鉄骨造」「S造(steel造)」と呼びます。

この「鉄骨造」は、「重量鉄骨造」と「軽量鉄骨造」の二つに大別されます。

それぞれについて詳しく見てみましょう。

「重量鉄骨造」とは

「重量鉄骨造」は、厚さ6㎜以上の重量鉄骨で構成された建造物のことです。

重量鉄骨は、軽量鉄骨よりも大きな力に耐えることができ、地震が発生した際も安全性が高い構造になっています。

そのため、住む環境としては、「重量鉄骨造」の方が、「軽量鉄骨造」よりも適しているとされています。

一方で、吸音材や断熱材の質によって防音性や耐熱性が大きく変わるため、事前に確認するのが無難です。

「軽量鉄骨造」とは

「軽量鉄骨造」は、厚さ6㎜以下の軽量鉄骨によって構成された建造物のことです。

軽量鉄骨は、薄い鉄材であることから、大きな地震などの力に耐えられず、防音性も低いという特徴があります。

一方、重量鉄骨に比べ安価であることから、住宅メーカーなどは軽量鉄骨造のアパートをオススメする傾向があります。

「鉄筋鉄骨コンクリート造」について


「鉄筋鉄骨コンクリート造」は、「SRC造(Steel Reinforced Concrete造)」とも言い、柱などの鉄骨の周りにさらに鉄筋コンクリートを施した構造のことを指します。

鉄骨は、単体でも柱や梁に使用されるほど強度のある鋼材であり、鉄筋とさらに太くて頑丈な鉄骨でコンクリートを補強することにより、しなやかさと強度が増すことができます。

建設コストが高いことから、中低層のマンションではほとんど用いられず、10階建て以上の高層マンションで多く使用されます。

耐久性や耐震性は、鉄筋コンクリート造よりも上がりますが、防音性にはそれほどの大きな差はありません。

「鉄筋」と「鉄骨」の防音性


鉄筋コンクリート造と鉄骨造の防音性は以下のような特徴があります。

ピアノテレビ人の足音椅子の移動音
鉄筋コンクリート造小さく聞こえる聞こえない小さく聞こえる小さく聞こえる
鉄骨造よく聞こえるかなり聞こえる小さく聞こえる小さく聞こえる

コンクリートは重く密度が高いため、優れた防音性があります。

そのため、鉄筋コンクリート造は、比較的音が響きにくい構造となっています。

しかし、すべての音を遮断するわけではないため、内覧の際に予め確認するようにしましょう

一方で、鉄骨造は鉄筋コンクリート造と比較し防音性が弱く、イスの移動音などの小さな些細な音でも隣室に響いてしまいます。

「木造」について


木造とは、壁や柱、床や梁、屋根などの主要な構造部に木材を使用した建設物のことです。

鉄筋コンクリート造に比べ建築コストが安く、通気性や断熱性、吸湿性に優れているという特徴があります。

一方で、木材は鉄材に比べ脆いことから、耐久・耐火性が低く、災害に見舞われた際には被害が大きくなりやすいというデメリットもあります。

また、気密性が低いため、生活音が漏れやすく冷暖房が効きにくいという特徴もあります。

その他の建築方法

鉄筋コンクリート造や鉄骨造の他にも、以下のような建築方法があります。

  1. 合成樹脂造
  2. WRC造
それぞれについて詳しく見てみましょう。

「合成樹脂造」とは

合成樹脂造とは、プラスチックなどのように整形しやすい素材を使用した建築方法のことです。

「合成樹脂」とは
「合成樹脂」は、人工の高分子有機化合物のことです。

熱・圧力によって成型できるものの総称であり、ポリエチレン・ポリ塩化ビニールなどを指します。

また、ポリ塩化ビニル樹脂やアクリル樹脂など整形しやすい特徴をもった熱可塑性樹脂と、フェノール樹脂や尿素樹脂のように硬化したら元に戻らなくなる熱硬化性樹脂に大別されています。

合成樹脂造は、接着性や絶縁性に優れ成形・色付しやすいという特徴があります。

また、木造と同等の耐用年数があり、建築コストが安いといったメリットもあります。

「WRC造」とは

WRC造は、壁式構造とも呼ばれ、柱や梁を使わず壁・床・天井などで支える建築方法のことです。

一般的には5階よりも低いマンションなどでよく使用され、低コストで耐久性が高く、室内を広く使えるというメリットがあります。

一方で、柱や梁を使用しないという特徴から、設計の自由度が低いというデメリットがあります。

「鉄筋」と「鉄骨」の違いのまとめ

以上、この記事では、鉄筋と鉄骨の違いについて解説しました。

  • 鉄筋
    コンクリートの中に入れる補強材
  • 鉄骨
    建造物の骨組みとして使用する鉄材
鉄筋と鉄骨は、建設物などを調べる際によく目にする言葉です。

日常会話では、あまり使用しない言葉であるため、意味や違いをしっかり確認しましょう。