みなさんは被災地などを支援したいと思った時、何をしますでしょうか。いろいろな手段が考えられますが、中にはお金を寄付しようと考える人もいると思います。
ところで、お金の寄付の中にもいくつか種類があります。「義援金」や「支援金」や「寄付金」などです。
これらは違うものを指しています。
これらの違いを知ることで、適切な寄付ができるのではないでしょうか。
そこで、今回は「義援金」と「支援金」と「寄付金」の違いについて解説していきたいと思います。
結論:使われ方が違う
まず、「義援金」は被災者に直接、平等に分配されます。
次に、「支援金」は被災地で活動する団体の活動資金になります。
そして、「寄付金」は被災地に支援の形で支払うお金全般のことを指します。
「義援金」をもっと詳しく
義援金は被災者に直接、平等に分配されます。
具体的には、まず日本赤十字社や赤い羽根募金、それからテレビ局などが被災者を支援するための義援金を集めます。
そして、集められた金は都道府県が主体となって構成される義援金配分委員会に送られます。
次に、義援金配分委員会は各自治体の被害状況を参考にして、被害が大きい自治体ほど多くのお金をもらえるように配分を行い、被災市町村に送ります。
そして、義援金を受け取った市町村は各世帯の死亡者数、行方不明者数、家屋の損壊レベルなどに基づき、各世帯に義援金を平等に分配します。
このように、義援金は確実に被災者のもとにお金を届けることができます。
そして、配布する時に誰かが手数料を取ることはなく、しかも分配は現金で行われます。
そのため、被災してさまざまなことにお金がかかり、生活に困っている被災者にとって、とても助かるでしょう。
ただ、義援金にはデメリットもあります。
それは、配分までに時間がかかることです。公平に義援金を配分するのは被災した自治体ですが、災害では自治体自体も被災していることがあり、そうでなくても非常時で混乱しています。
そのような中で義援金を平等に分配し、被災者に届けるためには多くの時間が必要なのです。
そのため、被災者が一番困っている災害直後に義援金は役に立ちません。なので、義援金を送るなら被災地が落ち着いてくる、災害復旧の中期や後期などが適しているでしょう。
ちなみに、「義援金」という熟語は本来は正しいものではなく、本来は「義捐金(ぎえんきん)」が正解です。
ちなみに、「捐(えん)」とは「私財を出して人を助ける」という意味です。しかし、この漢字は常用漢字ではないので、新聞や公文書などでは用いることができません。
そのため、新聞などでは「支援」という意味がある「援」を代用して、「義援金」と表記しています。
つまり、「直接的ではなくても、義をもって援助するお金」が「義援金」なのです。
「支援金」をもっと詳しく
支援金は被災地で活動する団体の活動資金になります。
これは義援金とは違って、被災地で活動する団体がそれぞれ募集しています。
そして、これは被災者に直接届けられるものではないので、用途は各団体が決め、無駄遣いされる可能性も0とは言えません。
ただ、各団体ごとに収支報告や使途の説明などは行われます。ですが、実際にどう使うかはそれぞれの団体に任せられています。
そのため、支援金を寄付する時には、その団体が信頼できるかどうかを慎重に見定める必要があるでしょう。
ただ、支援金には義援金より優れている点もあります。
それは即効性があるということです。義援金は被災者に届くまでに時間がかかりますが、支援金は被災直後の被災地の救命活動や復旧活動などに役立てられます。
そして、被災者のニーズに応じて柔軟に対応できるのも支援金のほうです。
そのため、災害が発生した直後は義援金よりも、支援金のほうが適していると言えるでしょう。
「寄付金」をもっと詳しく
寄付金は被災地に支援の形で支払うお金全般のことを指します。
つまり、義援金も支援金も寄付金の一種です。そして、これには被災者ではなく被災自治体に対する寄付も含まれています。
その場合には、公共道路や復旧支援事業などに用いられることが多いでしょう。
ちなみに、寄付金は人の善意で行われることが多いですが、中には募金詐欺をする人もいるので注意が必要です。
募金詐欺とは、義援金などと偽ってお金を集め、それを自分のものにしてしまうことです。
また、広い意味では寄付金は個人や法人が金銭や資産を贈与し、相手に経済的な利益を与えることを表します。
その場合には、友達にお金をあげた場合にも寄付金であると言うことができます。
また、ふるさと納税もある意味で寄付金であると言うことができるでしょう。なぜなら、ふるさと納税は自分が住んでいない自治体に税の形でお金をあげることで、返礼品をもらう、という制度だからです。
ちなみに、善意により行われる寄付に報いるために、日本には寄付金控除という制度があります。
寄付金控除とは、国、自治体、学校、特定のNPO団体などに寄付を行うと、税金を優遇してくれるという制度です。
そして、優遇してくれる税金には所得税と個人住民税とがあります。
それぞれについて具体的に見ていきましょう。
まず、所得税の場合は、税額控除もしくは所得控除で、自分に有利なほうを選ぶことができます。ちなみに、税額控除のほうが有利になる場合が多いでしょう。
そして、どちらにしろ、寄付を行うことで所得税を少なくすることができます。
次に、個人住民税の場合には、住んでいる都道府県や市区町村が寄付金による個人住民税の減額を条例で定めていた場合にのみ、税金を減らすことができます。
そして、市区町村が定めていた場合は4%、都道府県が定めていた場合には6%減らすことができます。
また、これは重ねることもできるので、どちらも定めていた場合には10%の減税を受けることができます。
ちなみに、このような寄付金控除を受けるためには確定申告が必要で、寄付した団体や機関が発行した領収書も必要です。
ただ、これには例外があって、ふるさと納税による寄付の場合には特例で確定申告をしなくても寄付金控除を受けれることになっています。
そんな「寄付金」ですが、「寄附金」という漢字表記もあります。そして、一般的には「寄付金」と書きますが、法令や公的な文書などでは「寄附金」と表記されます。
まとめ
以上、この記事では、「義援金」と「支援金」と「寄付金」の違いについて解説しました。
- 義援金:被災者に直接、平等に分配される
- 支援金:被災地で活動する団体の活動資金になる
- 寄付金:被災地に支援の形で支払うお金全般のこと
このように、「義援金」と「支援金」と「寄付金」は異なるものです。これから寄付を行う時には適切な寄付先を選んでいきたいですよね。