似ている言葉のように思える「頭越し」と「頭ごなし」ですが、それぞれの意味合いはまるで違います。それぞれの語句の使い方に注目しながらその意味に違いについて解説していきます。
結論:どちらも当事者の話が聞かれない点では共通
「頭ごなし」は、一方的に決めつけて話すことです。
どちらも当事者の意見を聞いてもらえないという意味では同じですが、意味合いはまるで違いますね。
「頭越し」をもっと詳しく
「頭越し」とは、そのことに利害関係のある者、先ず相談すべき者などを差し置いて、交渉相手などに直接働きかけ物事決めてしまうことをいいます。
例えば会社で、部下が本来相談するべき直属の上司に相談せず、上層部に直接訴えて契約を進めた場合などは、「部長の頭越しに契約を結んだ」などといいます。
報告・連絡・相談が重視される場面や、職場などでもよく使われる表現ですね。
頭越しとはもともと、「人の頭上を越して何かの動作をすること」という意味があります。
それが転じて、「間に立つものをさしおいて、直接働きかけること」、つまり当事者の意見を聞くことなく、勝手に話し合いを進めること、という意味になっています。
たしかに、「頭ごなし」のほうがよく聞く言葉ではある気がしますが、意味合いがまるで違ってきてしまうので、注意が必要ですね。
「頭ごなし」をもっと詳しく
「頭ごなし」は相手の言い分を聞かず、最初から一方的に決めつける、という意味があります。
「頭ごなしに反対する、」「頭ごなしに叱りつける」のようによく使われます。はじめから相手が悪いと決めつけて叱る場合などですね。
「頭ごなし」 の 「ごなし」 は、もともとは「こなす」 という動詞を名詞化したものです。
この「こなす」 という動詞は、形があるものを砕いて粉状にする、という意味です。
そこから意味が広がり、食べものを消化する意味で 「腹ごなし」 と言ったり、「こなす」=「思うままに扱う、自由に扱う」という意味を持つようになりました。
「使いこなす」「着こなす」のように物事をうまくやることができる、という意味にも使われますね。
ここまで見ていると「こなす」というのは良いイメージの言葉なのですが、だんだんと自由に、うまくやる、と言ったニュアンスが強くなり、見下す、威圧する、と言った意味も持つようになったのです。
よって、「頭ごなしに叱りつける」というのは、高圧的なニュアンスのマイナスイメージが使われていることになります。
ここにおける「頭ごなし」の「頭」は、人の体の部位というよりは、はじめから、頭から、という意味に捉えるとわかりやすいです。
怒りがこみ上げているときは、相手の言葉が耳に入らなくなることもありますが、必ずしも頭ごなしに相手を責めることがいいとは限りませんね。
まとめ
以上、この記事では、「頭越し」と「頭ごなし」の違いについて解説しました。
- 頭越し:当事者を差し置いて話を進めること
- 頭ごなし:相手の言い分を聞かずに話を進めること