敬語「ご参考までに」とは?意味から類語や英語までわかりやすく解説

言葉

「ご参考までに」とは「参考までに見てください」という意味です。

「ご参考までに」はビジネスシーンでよく使われますが、さまざまな注意点があると知っていますか?

聞いたことはあっても、「ご参考までに」を実際どのように使ったら良いのか迷っている方も多いのではないでしょうか。

そこで、この記事では「ご参考までに」の意味から注意点まで詳しく解説しています。

 

☆「ご参考までに」をざっくり言うと…

読み方ご参考(さんこう)までに
意味参考までに見てください
使い方・文末で用いる
・後ろに相手の動作を表す尊敬語をつける
・後ろに自分の動作を表す謙譲語をつける
表現・ご参考までにお目通しください
・ご参考までにご一読ください
・ご参考までに転送いたします
間違った表現・ご参考までにご査収ください
・ご参考までに教えてください
注意点・目上の人に使う時は注意
・「ご参考までに」単体で使うのは好ましくない
・見てもらえない可能性がある など
言い換え表現・参考にしてください
・参考として
・ご参照までに など
英語訳・for your information (FYI)
・for your information and guidance (FYIG)
・for your reference (FYR)

「ご参考までに」の意味

参考さんこうまでに

【丁寧語】参考までに見てください

「ご参考までに」は添付した資料などを参考までに見てほしい時に用いられる丁寧語です。

便利な表現ですが、添付したものをどのくらい見てほしいのかわかりにくいので、誤解が生まれやすい表現でもあります。

ここからは、「ご」「参考」「までに」に分けて詳しく見ていきましょう。

「ご」の意味

  1. 自分の行為につける謙譲語の「ご」
    例:後ほどご連絡いたします
  2. 相手の行為につける尊敬語の「ご」
    例:ご覧になりますか?
  3. ものの名前につける丁寧語の「ご」
    例:ご飯

「ご参考までに」では、「ご」は丁寧語として使われています。

「参考」の意味

参考さんこう

何かをする時に自分の考えを決める手がかりにすること

「参考」は「思考の手がかりにする」という意味です。

「までに」の意味

までに

  1. 動作が及ぶ範囲や限度
    例:月末までに書き上げたい
  2. 動作が及ぶ程度
    例:完膚(かんぷ)なきまでにたたきのめす
  3. 動作がそれ以上には及ばない様子
    例:感謝のしるしまでにお持ちしました。

「ご参考までに」では➂の「動作がそれ以上には及ばない様子」という意味で用いられています。

「までに」は漢字では「迄に」と書きますが、「までに」とひらがなで表記するのが一般的です。

 

このように「ご参考までに」は何かを「思考の手がかり程度にしてほしい」という意味を丁寧にした表現なのです。

「ご参考までに」の使い方

「ご参考までに」は上で解説したように丁寧語の表現です。

尊敬語や謙譲語ではないため、同僚や目下の人のみに用いるのが無難です。

「ご参考に」は以下の3つのパターンで用いられます。

  • 文末で用いる
  • 後ろに相手の動作を表す尊敬語をつける
  • 後ろに自分の動作を表す謙譲語をつける

それぞれの場合の使い方について例文と一緒に詳しく見ていきましょう。

使い方①:文末で用いる

「ご参考までに」は「〇〇です。ご参考までに」と文末で用いることが多い言葉です。

あいまいさが残る表現であり、後ろを省略した表現になるので、目上の人には使わないように注意しましょう。

例文
  1. こちらが先日の会議の議事録です。取り急ぎ、ご参考までに
  2. 競合他社のパンフレットを添付しました。以上、ご参考までに
  3. (資料を添付して)昨年1年間の売上の推移ですので、ご参考までに

❶の例文で使われている「取り急ぎ、ご参考までに」は急いで簡単な報告を行いたい時に便利な表現です。

❷の例文の「以上、ご参考までに」は幅広く使える便利な表現です。

使い方②:後ろに相手の動作を表す尊敬語をつける

「ご参考までに」は後ろに相手の動作を表す尊敬語をつけて用いられることがあります。

例文
  1. こちら前回の会議資料ですが、ご参考までに過去の資料もご覧になりますか?
  2. 配布した資料をご参考までにご覧ください。

以上のように、「ご参考までに」は「ご覧ください」という尊敬語と相性が良いです。

「ご覧ください」をつければ目上の人にも用いることができるので便利です。

使い方➂:後ろに自分の動作を表す謙譲語をつける

「ご参考までに」は後ろに自分の動作を表す謙譲語をつけて用いられることもあります。

例文
  1. ご参考までに先月までに発生したクレームの一覧を添付いたします。
  2. ご参考までに今後の日程を掲示させていただきます。

相手に参考にしてもらうことを目的に、自分が何をするか表すことができるのです。

「ご参考までに」を使った表現

「ご参考までに」は以下のような表現で用いられることが多いです。

  • ご参考までにお目通しください
  • ご参考までにご一読ください
  • ご参考までに転送いたします

それぞれの表現について例文と一緒に詳しく見ていきましょう。

表現①:ご参考までにお目通しください

「ご参考までにお目通しください」は何かを参考までに見てほしい場合に用いる表現です。

「お目通しください」は「全体的に目を通しておいてください」という意味の敬語です。

ただ、相手に命令するような表現になってしまうので、以下のような表現を用いたほうが丁寧です。

  • 参考までにお目通しいただきたく存じます
  • 参考までにお目通しくださいますようお願いいたします
  • 参考までにお目通しくださると幸いです
例文
  1. 議事録についてご参考までにお目通しいただきたく存じます。
  2. 年間予定表についてご参考までにお目通しくださいますようお願いいたします。
  3. 添付資料についてご参考までにお目通しくださると幸いです。

表現②:ご参考までにご一読ください

「参考までにご一読ください」は参考として何かを読んでもらいたい時に便利な表現です。

「ざっと読んでおいてほしい」という意図を伝えることができます。

例文
  1. 昨日の発注書です。ご参考までにご一読ください
  2. 昨日の経済の動きです。ご参考までにご一読くださればと思います。

表現➂:ご参考までに転送いたします

「ご参考までに転送いたします」は他の人とのメールを参考までに読んでほしい時に用いられる表現です。

例文
  1. お客様とのやり取りです。ご参考までに転送いたします
  2. 先方との事前交渉のメールになります。ご参考までに転送いたします

「ご参考までに」の誤用

「ご参考までに」を使った表現の中でも、以下の表現は間違っています。

  • ご参考までにご査収ください
  • ご参考までに教えてください

それぞれの表現について詳しく見ていきましょう。

間違い表現①:ご参考までにご査収ください

「ご参考までにご査収ください」は「参考」と「査収」でニュアンスが大きく異なるため、間違った表現です。

「参考」と「査収」には以下のような違いがあります。

  • 参考
    「思考の手がかりにする」という意味
  • 査収
    「よく調べて受け取る」という意味

「ご参考までにご査収ください」と言われてしまうと、相手は「参考程度にすれば良い」のか「きちんと読み込めば良いのか」わからなくなってしまいます。

参考程度にしてほしい場合は「ご参考までにご一読ください」などの表現が適切です。

一方、きちんと読み込んでもらいたい場合は「ご査収ください」と表現すると伝わりやすいです。

間違い表現②:ご参考までに教えてください

「ご参考までに教えてください」も不適切な表現です。

間違いとまでは言いませんが、上から目線の印象を与えてしまうため、使用するのは好ましくありません。

「使うかわからない情報だけど、教えてください」という教えてもらう側としては失礼なニュアンスになってしまうからです。

考えの手がかりとして何かを教えてもらいたい場合は、以下のような表現を用いるのが適切と言えます。

正しい表現
  • 参考にしたいので教えていただきたいです
  • 参考にさせていただきたいのでご教示ください

特に上司やお客様に教えてもらう時には丁寧な言葉を使うように心がけましょう。

「ご参考までに」の注意点

「ご参考までに」には以下のような注意点があります。

  1. 目上の人に使う時は注意
  2. 「ご参考までに」単体で使うのは好ましくない
  3. 見てもらえない可能性がある
  4. 主語で表現を変える必要がある
  5. 「ご参考までに」してもらうものは正確な資料にする

それぞれの注意点について詳しく見ていきましょう。

注意点①:目上の人に使う時は注意

「ご参考までに」は目上の人に使う時には注意が必要な言葉です。

「ご参考までに」は丁寧語であり、単体で使ってしまうと十分な敬意を表すことができないからです。

目上の人に「ご参考までに」を用いる時には、後ろに尊敬語や謙譲語をつけて、相手を敬う表現にしましょう。

注意点②:「ご参考までに」単体で使うのは好ましくない

「ご参考までに」は単体で用いるのはあまり好ましくない言葉です。

「~。ご参考までに。」としてしまうと、敬意を表す言葉を省略したように感じられ、失礼だと思われてしまう可能性があるからです。

「ご参考までに」単体で用いるのは、本当に急ぎの場合で、なおかつ同僚や目下の人に使う時だけにしましょう。

注意点③:見てもらえない可能性がある

「ご参考までに」と添付した資料などは見てもらえない可能性があるので注意が必要です。

「ご参考までに」と添付された資料は重要度が低いと思われてしまいます。

そのため、参照する必要はないと思われ、見てもらえない可能性があるのです。

相手に資料を見てもらいたい場合は「ご一読ください」などの表現を用いると確実に見てもらえるでしょう。

注意点④:主語で表現を変える必要がある

上でも少し解説しましたが、「ご参考までに」は主語で表現を変える必要があるので注意しましょう。

「ご参考までに」、自分が何かを添付する場合には後ろに「いたします」などの謙譲語を用います。

一方、「ご参考までに」相手に何かをしてもらいたい場合には、後ろに「お願いいたします」などの尊敬語を用いる必要があります。

注意点⑤:参考にしてもらう資料は正確なものにする

「ご参考までに」と添付した資料などは正確なものにしましょう。

「ご参考までに」添付したものであっても、相手が読むものなので、不正確な情報があると後々トラブルのもとになる可能性があります。

参考程度の資料でも正確性には気を配るようにしましょう。

「ご参考までに」の言い換え表現

「ご参考までに」を言い換えたい時には、以下のような言葉を使うことができます。

  • 参考にしてください
  • 参考として
  • ご参照までに
  • ご参照程度に
  • お目通し

「参考にしてください」と「ご参考までに」の違い

「参考にしてください」は「考えの手がかりにしてください」という意味です。

「参考にしてください」と「ご参考までに」には以下のような違いがあります。

  • 参考にしてください
    必ず確認しなければならない、というニュアンス
  • ご参考までに
    確認してもしなくても良い、というニュアンス

「参考にしてください」は「ご参考までに」と比べて、相手に強く確認を求める表現なのです。

「ご参考までに」の英語表現

「ご参考までに」を英語にすると以下のような表現になります。

  • for your information
    (参考までに)
    ※FYIと略す
  • for your information and guidance
    (参考情報として)
    ※FYIGと略す
  • for your reference
    (参考のために)
    ※FYRと略す

英語でも、略語になるほど「ご参考までに」という意味の言葉はよく使われていることがわかります。

ただ、略語にするのは友人同士のようなフランクな会話だけなので注意しましょう。

そのため、 “FYI” などと略語で用いられる時は「ちなみに」くらいのニュアンスになります。

例文で具体的に見てみましょう。

例文
  1. I have attached last year’s materials for your information.
    (参考までに昨年度の資料を添付しておきました。)
  2. Please check the materials for your reference.
    (ご参考までに資料をご確認ください。)
  3. Just an FYI, today’s party has been cancelled.
    (ちなみに今日のパーティーは中止になったよ)

補足:「参考」を使った敬語表現

「参考」を使った敬語表現には以下のようなものがあります。

  • ご参考になれば幸いです
    考えの手がかりになれば嬉しいです、という意味の表現
  • ご参考になりましたら幸いです
    考えの手がかりになれば嬉しいです、という意味の表現
  • ご参考いただければ幸甚(こうじん)です
    考えの手がかりになればとても嬉しいです、という意味の表現
  • よろしければご参考ください
    よかったら参考にしてください、という意味の表現
  • 参考にさせていただきます
    考えの手がかりにします、という意味の表現
  • ご参考資料
    相手の考えの手がかりになるような資料

補足:「参考」と「参照」の違い

「参照」とは、「照らし合わせて参考にする」という意味です。

「参考」と「参照」には以下のような違いがあります。

  • 参考
    自分の意見や態度を決めるため、他人の意見・事例・資料などを手がかりにする
  • 参照
    自分の意見や態度を決めるため、文章・図などの資料を手がかりにする

「参照」は「参考」に比べて手がかりにするものの範囲が狭いのです。

たとえば、「人の意見を参考にする」とは言えますが、「人の意見を参照する」とは言えません。

「ご参考までに」のまとめ

以上、この記事では「ご参考までに」について解説しました。

読み方ご参考(さんこう)までに
意味参考までに見てください
使い方・文末で用いる
・後ろに相手の動作を表す尊敬語をつける
・後ろに自分の動作を表す謙譲語をつける
表現・ご参考までにお目通しください
・ご参考までにご一読ください
・ご参考までに転送いたします
間違った表現・ご参考までにご査収ください
・ご参考までに教えてください
注意点・目上の人に使う時は注意
・「ご参考までに」単体で使うのは好ましくない
・見てもらえない可能性がある など
言い換え表現・参考にしてください
・参考として
・ご参照までに など
英語訳・for your information (FYI)
・for your information and guidance (FYIG)
・for your reference (FYR)

「ご参考までに」は便利な言葉ですが、使い方には注意が必要だったんですね。

この記事をご参考までに、正しく使えるようになりましょう。

ABOUT US

和佐 崇史
文章を書くこと、読むことが大好きな大学生です。中学2年生で漢検2級を取得するなど、言葉については詳しい自信があります。Webライターとしてはこれまで累計1,000記事以上を執筆してきました。