「シャバ」とは「外の自由な世界、一般社会」という意味です。
皆さんは、「シャバ」という言葉を聞いたことはありますか?
ヤンキー漫画やドラマが好きな人は何度か聞いたことがある言葉だと思います。
世代によっては、実際に使用していたという方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、そんな気になる「シャバ」について時代背景も踏まえつつ、分かりやすく解説していきます。
☆「シャバ」をざっくり言うと……
英語表記 | シャバ |
---|---|
意味 | 冴えない ダサい 根性なし |
語源 | インドの言葉の “娑婆” |
類義語 | 刑務所を出る |
対義語 | エクセレント 格好いい |
英語訳 | general society the general public outside など |
「シャバ」の意味
外の自由な世界、一般社会
「シャバ」とは、「束縛された状態にある人から見た、外の自由な世界」や「一般社会」を表す言葉です。
束縛された場所とは、主に軍隊や刑務所や遊郭などを指します。
現在は、「シャバ」の意味が派生し、普段は粋がっているのに「窮地に立たされると途端に弱腰になる様子」を指すことが多くなっています。
現在の「シャバ」の意味を詳しく見ていきましょう。
- ひ弱
- 根性なし
- 冴えない
- ダサい
- ヤンキー・不良以外の人
「シャバ」は、言葉自体にネガティブなニュアンスを含んでいます。
不良漫画の『ビーバップ・ハイスクール』が社会現象化した 1980年代後半~90年代にかけて、「シャバい」はヤンキー用語としてヤンキーや不良少年の間で頻繁に使用されていました。
現在は、日常生活においては聞かなくなった言葉ではあるものの、映画や漫画などで「シャバ〇〇」という表現で「シャバ」という言葉を目にすることがあります。
『ビー・バップ・ハイスクール』は、「きうちかずひろ」によって書かれた1983年から2003年まで「週刊ヤングマガジン」で連載されていた日本の漫画です。
ツッパリ留年高校生コンビのヒロシとトオルがケンカや恋に明け暮れる姿を描いた、いわゆる「ヤンキーもの」の代表的な作品となっています。
「シャバ」の使い方
- 新しく入学してきたあいつはシャバ僧だ。
- あいつは、自分の恋愛となると告白もろくできないシャバい奴なんだ。
- シャバの飯はうまい
①の例文のように、「シャバい小僧」の略語として「シャバ僧」という言葉も使用されていました。
また「シャバ」は、②の例文のように「シャバい」と表現され、形容詞として使用されています。
「シャバ」と言われる人の例
「シャバ」と言われる人の例には以下のようなものがあります。
- 陰では偉そうにしてしているが、上司が目の前に現れると、掌を返したように態度を豹変させる人
- 自分の恋愛に憶病になる人
- 喧嘩が弱いのに、口だけは達者な人
「シャバ」の語源
「シャバ」の語源はインドの言葉の 「娑婆(シャバ)」です。
- 堪忍土(かんにんど)
堪え忍ばなければ生きていけない世界、この世
仏教では、苦しみや悩みが絶えないこの世を堪えて生きていかなければならないという教えがあります。
この堪忍して生きていく世界のことを「堪忍土」と呼びます。
「娑婆」が「刑務所の外の世界」という意味で使われるようになったのは、江戸時代の遊郭で働く女郎が「娑婆こそ自由な世界だ。娑婆はいいなあ」と使うようになったことがきっかけになっています。
「娑婆」から派生した言葉
シャバの語源となっている「娑婆」から派生した言葉の意味を解説していきます。
- 娑婆気
世俗的な名誉や利益から離れない心 - 娑婆臭い
俗っぽい・金などへの執着が強い - 娑婆塞ぎ
生きているというだけで、なんの役にも立たないこと
「シャバ」が使用され始めた背景
「シャバ」が現在の意味で使用されるようになったきっかけは、『ビーバップ・ハイスクール』です。
1980年代〜1990年代のいわゆる「ツッパリ・ヤンキー世代」が中心になって使用していました。
「娑婆(シャバ)の空気」という表現が省略されて「シャバ」というヤンキー用語が誕生したと言われています。
ヤンキー達は「不良ではない普通の奴ら=シャバの奴ら」という考え方を持っていたため、次第に「シャバ」の意味が発展し、現在の意味になったと言われています。
しかし、『ビーバップ・ハイスクール』において不良でない人達を「シャバい」と表現したことから、「冴えない」という意味に転じて使われるようになりました。
「シャバ」の類義語
「シャバ」には以下のような類義語があります。
- 刑務所を出る
刑務所の外に出ること - 現世
現在の世、この世
「シャバの飯がうまい」 というセリフに聞き覚えがある方も多いかもしれませんが、「シャバの飯」とは「外の世界の飯」という意味で昔のヤクザ映画で使用されていました。
罪を犯して刑務所に服役していた人が、外に出た時に使っていた言葉であるため、「シャバ」とは「刑務所」の外である「普通社会」のことを指します。
また、「シャバの飯」とは「普通社会で食べることができるご飯」という意味です。
「シャバ」の対義語
「シャバ」には以下のような対義語があります。
- エクセレント
優秀な、最高に素晴らしい - 格好いい
見た目や外見が好ましい様子
「エクセレント」には、「洗練された」という意味があり、一目置かれるような振る舞いや外見、中身を持っている人を指す言葉です。
一方、「格好いい」も「見た目や外見が好ましい様子」を指す言葉であるため「冴えない・ダサい・根性なし」という意味を持つ「シャバ」の対義語になります。
「シャバ」の英語訳
「シャバ」には、以下のような英語訳が存在します。
- general society
(一般社会) - the general public
(社会一般) - outside
(外界) - this world
(この世界) - free world
(自由な世界) - present world
(現実世界)
また、現在使用されている「シャバ」の意味である「ひ弱」「ダサい」などの英語訳は以下のように表現できます。
- It goes out of fashion.
(時代遅れ) - That ugly.
(格好悪い) - That not cool.
(それって、すごく格好悪い)
「シャバ」のまとめ
以上、この記事では「シャバ」について解説しました。
英語表記 | シャバ |
---|---|
意味 | 冴えない ダサい 根性なし |
語源 | インドの言葉の “娑婆” |
類義語 | 刑務所を出る |
対義語 | エクセレント 格好いい |
英語訳 | general society the general public outside など |
「シャバ」は、昔のドラマや小説などに時々出てくる「冴えない」「ダサい」「根性なし」などの意味を持つ言葉です。
日常生活の中で「シャバい」という言葉を使用する人は多くありませんが、現在40〜50歳くらいの年齢の方は「シャバ」という言葉に懐かしさを感じ、使用している人はいるかもしれません。
しかし、「シャバ」は比較的ネガティブな要素を含んでいる言葉であるため、言われた側はあまり良い気持ちはしません。
時と場合に応じて、「シャバ」の意味をしっかりと理解して使用するようにしましょう。