高揚感(こうようかん)と昂揚感(こうようかん)は、「高揚感のほうが昂揚感よりも一般的な表記である」という点が異なります。
意味に違いがあるのかどうか、気になっている方が多いのではないでしょうか。
高揚感と昂揚感は、どちらも「気持ちが高まる」という意味をもちますから、違いがあるのは表記だけなのです。
この記事では、両者の違いだけでなく、高揚感と昂揚感の詳しい意味や類義語、英語訳なども詳しく解説します。
- 高揚感は、昂揚感よりも「一般的な表記」
- 高揚感、昂揚感はどちらも「気持ちが高まる様子」を表す
- 高揚感(昂揚感)のよくある言い回しは「高揚感を得る」「高揚感がある」など
- 高揚感(昂揚感)の類義語は「多幸感」「ハイテンション」「活気づく」など
- 高揚感(昂揚感)の対義語は「落ち込み」「鎮静」「沈滞」など
- 高揚感(昂揚感)の英語訳は「uplifting feeling」「exaltation」「emotional uplift」など
- 高揚感(昂揚感)のメリットは「スポーツで良い結果が出る」など
- 高揚感(昂揚感)のデメリットは「他人に迷惑をかける可能性がある」など
このページの目次
「高揚感」と「昂揚感」の違い
高揚感と昂揚感には、以下のような違いがあります。
- どちらも「気持ちが高まる様子」を表す
- 高揚感は、昂揚感よりも一般的な表記
高揚感と昂揚感は、どちらも「気持ちが高まる様子」という意味をもちます。
ポジティブな意味合いをもつ言葉で、嬉しいときや楽しいときに使います。
意味が同じであるため、「高揚感」と「昂揚感」のどちらを使っても問題ありませんが、より一般的な表記は「高揚感」です。
なぜなら、1956年(昭和31年)以降、「昂」という字の代わりに「高」が使われるようになったからです。
現代では、少しずつ気持ちが高まるときに高揚感を使い、すでに気持ちが高まっているときに昂揚感を使う人がいます。
しかし、この使い分けに明確な根拠はありません。
あくまでも辞書においては、高揚感と昂揚感の意味に違いはありません。
「高揚感」を詳しく解説
高揚感と昂揚感のうち、より一般的な表記は「高揚感」です。
1956年の国語審議会において、常用漢字でない「昂」の代わりに、常用漢字の「高」を使うことが決まったのです。
これにともなって、もともと「昂揚感」という表記だったのが、「高揚感」表記に変わりました。
同じ要領で考えると、「士気高揚(しきこうよう)」という四字熟語も「士気昂揚」と書く場合がありますが、現代では「士気高揚」表記が一般的です。
常用漢字とは、国が制定した、社会生活での漢字使用の目安のことです。
「昂揚感」を詳しく解説
昂揚感は高揚感に比べると使用頻度が低い言葉です。
1956年以降、「昂」が常用外漢字となったためです。
ちなみに、現代において「昂」は、人名漢字としてよく使われます。
- 昂太(こうた)
- 昂輝(こうき)
- 昂史朗(こうしろう)
「高揚感」と「昂揚感」の使い方・例文
高揚感と昂揚感は、どちらも「気持ちが高まる様子」を表します。
ですから、両者は同じ使い方をすることができます。
以下、「高揚感」「昂揚感」の使い方・例文について解説します。
「高揚感」と「昂揚感」の使い方
高揚感と昂揚感は、おもに以下のような言い回しで使います。
- 高揚感(昂揚感)を得る
気持ちが高まる - 高揚感(昂揚感)がある
気持ちが高まっている - 高揚感(昂揚感)が高まる(※)
気持ちがどんどん高まる - 高揚感(昂揚感)を覚える
気持ちが高まっていくのを自覚する - 高揚感(昂揚感)に包まれる
高まった気持ちで胸がいっぱいになる - 高揚感(昂揚感)を与える
何らかの要因によって気持ちが高まる - 高揚感(昂揚感)に浸る
高まった気持ちを味わう - 高揚感(昂揚感)を抑える
気持ちの高まりを抑える
「高揚感」「昂揚感」には、すでに「気分が高まる」という意味が含まれています。
そのため、「高揚感(昂揚感)が高まる」は厳密には二重表現といえます。
しかし、慣例として、「高揚感が高まる」という表現はよく使われます。
「高揚感」と「昂揚感」の例文
使い方を踏まえて、具体的な例文を見てみましょう。
- マラソンを完走したいま、高揚感(昂揚感)がある。
- あなたの楽しい演奏を聴いて、高揚感(昂揚感)が高まりました。
- 観客がドッと笑った瞬間、舞台上にいた私は高揚感(昂揚感)を覚えた。
- 試合に勝った帰り道、彼らは高揚感(昂揚感)に包まれていた。
- この映画は、高揚感(昂揚感)を与える作品だから、ぜひ見てください。
- 何も知らずに高揚感(昂揚感)に浸っていた私に、悲報が知らされた。
- 彼女は高揚感(昂揚感)を抑えながら、受験の合格を報告した。
「高揚感」と「昂揚感」の類義語
高揚感と昂揚感には、以下のような類義語があります。
- 多幸感(たこうかん)
幸せがあふれる様子 - ハイテンション
気持ちが高まること - 活気(かっき)づく
いきいきとする - 活気が良くなる
いきいきとする - 興奮(こうふん)
気持ちが高まること - 興奮状態
気持ちが高まる状態 - 興奮を強める
感情の高まりを強める - 盛り上がる
気持ちや勢いがとても高まる - 浮き立つ思い
うきうきして落ち着かない気分 - うわずった気持ち
高まる気持ち - うわずった気分
高まる気持ち - 発奮(はっぷん)
頑張ろうと気持ちを奮い立たせること
「高揚感」「昂揚感」と「多幸感」の違い
多幸感は、幸せがあふれる様子を表します。
高揚感(昂揚感)も「気持ちが高まる」というポジティブな言葉ですから、高揚感(昂揚感)と多幸感は類義語といえます。
ただし、厳密には以下のような違いがあります。
- 高揚感(昂揚感)
自然と気持ちが高まる様子 - 多幸感
外的物質によって快感が高まる様子
高揚感と昂揚感は、心から楽しくなることを表します。
一方で、多幸感は何らかの物質で楽しくなることを指すのです。
特に、多幸感は、薬物の使用によって気持ちが高まる様子を表すことが多いです。
「高揚感」「昂揚感」と「ハイテンション」の違い
ハイテンションも、高揚感や昂揚感と同じく、気持ちが高まることを表します。
ただし、厳密には以下のような違いがあります。
重点をおく部分 | 気持ちの高まり | |
---|---|---|
高揚感 昂揚感 | 「高まる気持ちそのもの」に重点をおく | どんどん気持ちが高まる状態 |
「気持ちが高まる状態」に重点をおく | すでに高まった状態 |
ハイテンションは、「高まる気持ち」ではなく、「気持ちが高まっている状態」を指しているのです。
また、すでに気持ちが高まった状態を指すのも、ハイテンションという言葉の特徴です。
「高揚感」と「昂揚感」の対義語
高揚感と昂揚感には以下のような対義語があります。
- 落ち込み
気分が上がらず、ふさぎこむこと - 鎮静(ちんせい)
静かになり、落ち着くこ - 沈滞(ちんたい)
活気がないこと - 冷静(れいせい)
気持ちが落ち着いていること - 萎える(なえる)
気持ちや体力が弱る - 気分が高ぶらない
精神が元気にならない - 消沈(しょうちん)
衰えること
「高揚感」と「昂揚感」の英語訳
高揚感と昂揚感を英語に訳すと、次のような表現になります。
- uplifting feeling
(高揚感/昂揚感) - exaltation
(高揚感/昂揚感) - emotional uplift
(高揚感/昂揚感) - be elated
(気持ちが高まる)
「高揚感」と「昂揚感」のメリット
高揚感(昂揚感)を得ることには、以下のようなメリットがあります。
- スポーツで良い結果が出る
- ストレスを感じにくい
- 前向きな気持ちになれる
- やる気が出てくる
スポーツにおいては、高揚感(昂揚感)を得て心臓の動きが速くなると、予想以上に活躍できることがあります。
また、高揚感(昂揚感)が高まって楽しい気分になると、ストレスも軽減され、ポジティブ思考になることができます。
やる気が湧いてきて、向上心が高まるという効果もあります。
「高揚感」「昂揚感」を得るためには
高揚感(昂揚感)を得るためには、自分が楽しいと思えることに取り組む必要があります。
たとえば、以下のような方法が有効です。
- 運動をする
- スポーツ観戦をする
- 映画を鑑賞する
- リズミカルな音楽を聴く
- ドライブをする
- 趣味に没頭するなど
「高揚感」と「昂揚感」のデメリット
高揚感(昂揚感)を得ることには、以下のようなデメリットもあります。
- 他人に迷惑をかける可能性がある
- ギャンブルに依存する恐れがある
まず、自分だけが高揚感(昂揚感)を得て興奮すると、周囲に迷惑をかけますから注意しましょう。
また、気持ちが高まりすぎた結果、根拠のない自信を得て、ギャンブルに熱中する人もいます。
ギャンブル依存症につながる可能性があるため、高揚感をもったまま賭けをするのは危険です。
「高揚感」「昂揚感」を抑えるためには
高揚感(昂揚感)を抑えるためには、自分を客観視して、冷静になる必要があります。
たとえば、鏡を見て、自分が興奮してしまっている様子を観察するだけで、自然と気持ちが落ち着いてきます。
ちなみに、このように自分を客観視することを「メタ認知」といいます。
「高揚感」と「昂揚感」の違いのまとめ
以上、この記事では、高揚感と昂揚感の違いについて解説しました。
- どちらも「気持ちが高まる様子」を表す
- 高揚感は、昂揚感よりも一般的な表記
どちらを使うか迷ったときは、より一般的な表記である「高揚感」を用いましょう。
また、これを機に、「高揚感」「昂揚感」の使い方や英語訳などもしっかり覚えましょう。