「法律」違反というと、どのようなことを思い浮かべますか。盗みをして刑法違反、でしょうか。それとも無免許運転をして道路交通法違反、でしょうか。どちらも正解です。
それでは「法令」違反というと、どうでしょうか。少し迷いながら、「法律」違反と同じようなことをいうのではないでしょうか。(ちなみにそれも正解です)
今回は「法律」と「法令」の違いを分かりやすく解説していきます。
このページの目次
結論:法令は法律を含む
法律とは、国会で制定される国法のことです。一方、法令とは、法律と行政機関で制定された命令のことです。
法律
法律とは、議会で制定される国法のことです。
議会では国民が選挙によって選出した国会議員が議論を行い、法案の審議します。衆参両院で可決されれば、法案は成立し、法律となります。
法令
法令とは、国や行政機関で定められたきまりのことです。つまり国会による「法律」と行政機関による「命令」の両者をあわせたものです。
「命令」とは、行政機関が法律の実施のために制定するきまりです。基本的に法律を補足する内容ですが、法律による委任があれば罰則を制定することもできます。
例えば「道路交通法」という法律の内容を補足する存在として、「道路交通法施行令」という命令があります。「道路交通法施行令」では「道路交通法」の規定がより詳しく、厳密な規定が定められています。
法令には、具体的には次のものを含みます。
法律 | 国会が制定するきまり |
---|---|
政令 | 内閣が制定する命令 |
省令 | 省が制定する命令 |
府令 | 内閣府が制定する命令 |
上に述べた「道路交通法施行令」は政府が制定した命令であるため、政令です。
一方、法令は定義をより広く考える場合もあり、その場合は法規と似たような意味になります。具体的には、憲法や条例、最高裁判所規則、訓令(上級行政機関が下級行政機関を指揮するためのきまり)なども法令に含まれることになります。
まとめ
「法令」は「法律」を含みます。「法令」は国や行政機関のきまり全般を指しますが、さらに地方自治体のきまりなども含むことがあります。
以上、この記事では「法律」と「法令」の違いについて解説しました。
- 法律:国会で制定されるきまり
- 法規:国や行政機関のきまり
政令や省令、府令などは、法律に比べ影が薄い、よくわからない存在かもしれません。しかし、私たちの生活は、それらを含めた「法令」全体によって支えられています。