「その旨」とは「そのような内容」「そのような話」という意味です。
ビジネスシーンなどで「その旨」という言葉を聞いたことはありますか?
何となく使い勝手が良くて使っていても、どんな意味なのか問われると難しいですよね。
この記事では、「その旨」の意味や使い方を詳しく解説していきます。
「その旨」の意味
そのような内容。そのような話
「その旨」は「そのような内容」「そのような話」という意味です。
「その旨」は文章や会話において、「直前の内容」を表します。
ビジネスシーンなど公的な場面で使うので、日常会話ではほとんど使いません。
ここからは「旨」の意味について詳しく見ていきましょう。
「旨」の意味
「旨」は読み方によって意味が異なります。
- むね:中心となるもの。重要なもの
例:公正を旨とする - むね:述べたことの中心
例:趣旨(しゅし) - シ:心で考えている内容
例:主旨(しゅし) - うま(い):食べ物や飲み物がおいしい
例:旨酒(うまさけ・うまざけ)、旨味(うまみ)
「その旨」の「旨」は、②「述べたことの中心」を意味します。
「旨」という漢字は「うま」や「シ」とも読めますが、「その旨」は「そのむね」と読みます。
「そのうま」や「そのし」と読まないように注意しましょう。
「その旨」の使い方・例文
「その旨」は、同じ文章を繰り返さないために使います。
そのため、文章や会話の最初ではなく、途中や最後に使います。
「その旨」は以下のような場面で使います。
- 自分が話した内容について使う
- 相手への返事として使う
それぞれ例文と一緒に見ていきましょう。
①自分が話した内容について使う
「その旨」は、自分が話したり書いたりした内容を指すときに使います。
- こちらのメールが届きましたら、確認のためその旨ご返信ください。
- 昨日は名古屋に出張しており、本日17時に帰社致しました。その旨上司に報告済みです。
- 一生懸命頑張った結果、テストの点数はいまいちだった。しかし自主的に勉強に取り組めたので、今回はその旨を良しとした。
③の「その旨」は、「テストの点数はいまいちだったこと」を指します。
「その旨を良しとした」は、結果はネガティブだったが、ポジティブなこともあったので気にしないという意味で使われます。
また、会話において以下のような使い方もします。
上記の「その旨」は、「打ち合わせ場所が変わったこと」を指します。
②相手への返事として使う
「その旨」は、相手が話したり書いたりした内容を指すときに使います。
上記の「その旨」は、「アンケートの提出は今週末までということ」を指します。
上記の「その旨」は、「山田さん宛てに取引先の人から電話があったこと」を指します。
「そのことを伝える」と言いたいときは「その旨申し伝えます」を使います。
「その旨をお伝えいたします」は、自分に敬語を使っているため誤用です。
「その旨」の注意点
「その旨」の注意点には以下のようなものがあります。
- 「その旨」を多用しない
- 「その旨」に敬語はつけない
それぞれ見ていきましょう。
注意点①「その旨」を多用しない
「その旨」は多用すると文章がわかりにくくなります。
「その旨」は、直前の文章を指す言葉ですが、多用すると何について述べたいのかわかりにくくなってしまいます。
- 明日は午前9時から会議があります。その旨、田中さんにもお伝えください。場所は第一会議室ですので、その旨ご留意願います。1人ずつ企画を発表していただくので、その旨アイデアを考えてきてください。
上記の例文では、「その旨」を多用して、わかりにくくなっています。
「その旨」の使用は最小限にとどめましょう。
注意点②「その旨」に敬語はつけない
「その旨」は、敬語の「ご」や「お」をつけて「そのご旨」「そのお旨」とは言いません。
「その旨」は上司など目上の人へも使うことができますが、「その旨」という言葉には敬語をつける必要はありません。
「御旨」は「ごむね」ではなく「ぎょし」と読みます。
「お考え」「おぼしめし」という意味です。
「〇〇の旨」の使い方・例文
「その旨」のほかにも、「〇〇の旨(むね)」という表現はたくさんあります。
この場合は、「〇〇ということ」「〇〇という考え」「〇〇という意向」という意味です。
〇〇の旨には以下のようなものがあります。
- 参加の旨
- 応募の旨
- 出席の旨
- 欠席の旨
- 退職したい旨
- 振込希望の旨
- 契約内容の旨
〇〇の旨を使った例文には以下のようなものがあります。
- 寮の皆様方には大変良くしていただいたので、是非とも感謝の旨をお伝えください。
- A組の生徒から電話があり、欠席の旨を承りました。
①の「感謝の旨」は、「感謝をしていること」を指します。
②の「欠席の旨」は、「欠席すること」を指します。
「その旨」の類義語
「その旨」には以下のような類義語があります。
- その内容(を)
- 今の話の内容(を)
- 今話した内容(を)
- その話(を)
- そのように
- その件について
- そのことについて
- そのこと(を)
- このこと(を)
- ~とのこと
「その旨」の英語訳
「その旨」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- to that effect
(その旨) - the gist
(その旨) - the fact
(その旨)
“effect” は要点という意味です。
“to that effect” は3語で「その旨」という意味になります。
上記の英語表現を使った例文は、以下のようなものがあります。
- inform someone to that effect
(その旨を人に知らせる) - Please inform him to that effect.
(その旨お伝えください。) - I have received email to that effect that (he couldn’t come to the meeting).
(その旨(彼がミーティングに出れないこと)メールを受け取っています。)
「その旨」のまとめ
以上、この記事では「その旨」について解説しました。
読み方 | その旨(そのむね) |
---|---|
意味 | そのような内容。そのような話 |
類義語 | その内容(を)、今の話の内容(を)、今話した内容(を)など |
英語訳 | to that effect(その旨)、the gist(その旨)、the fact(その旨) |
「その旨」は直接内容に触れず、遠回りすることによってやわらかい表現をすることができる言葉です。
文章でも会話でも使うことができるので、その旨を理解したうえで、どんどん使ってみてくださいね。