働いていれば必要!「年末調整」と「確定申告」の違い

違いのギモン

働いている人に必ずついてまわるのが所得税です。

そして、所得税は会社に所属している人ならば源泉徴収という形で毎月おおまかに徴収されています。

そのため、その年の所得が確定した段階で正確な納税を行うために納税金額を調整する必要があります。

 

そして、所得税を正確に納税するための手続きは 2 種類あります。

「年末調整」と「確定申告」です。

この 2 つの手続きについて理解していないと、思わぬ不利益を受けてしまうこともあるかもしれません。

 

そこで、今回は「年末調整」と「確定申告」の違いについて解説していきたいと思います。

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結論:する時期とする人が違う

まず、「年末調整」とは会社が従業員からおおまかに徴収していた税金を年末に計算しなおして還付もしくは徴収することです。

一方、「確定申告」とはさまざまな種類の所得について3月頃に自分で申告・納税を行うことです。

つまり、「年末調整」と「確定申告」では、する時期とする人が違うのです。

「年末調整」をもっと詳しく

年末調整とは会社が従業員からおおまかに徴収していた税金を年末に計算しなおして還付もしくは徴収することです。

源泉徴収という言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。これは毎月の給与からおおまかに徴収されている所得税です。

ちなみに、なぜおおまかに徴収しているのかと言うと、年の途中では所得税の金額を確定させることができないからです。

日本の所得税は累進課税制になっていて、多くの金を稼ぐほど税率は上がっていきますが、年の途中では税率がわからないのです。

 

そこで、一年の給与が確定する年末に生命保険料控除や住宅ローン控除などを入れて再度税額を計算し、所得税の追加徴収や還付などを行います。追加徴収の場合にはお金を支払わなければなりませんが、還付の場合にはお金が戻ってきます。

これが年末調整です。

ちなみに、生命保険料控除とは、生命保険料を支払っている人は所得税を減らしてくれるというものです。

また、住宅ローン控除とは住宅ローンを支払っている人は所得税が減額されるというものです。

 

そして、年末調整は給与を支払う側が行います。そのため、会社勤めをしている人は会社が行ってくれます。その具体的な手順についてはこれから解説していきたいと思います。

ちなみに、一か所しか給与所得がない人はこれだけで所得税の金額が確定するので確定申告を行う必要はありません。

ここからは年末調整の種類、年末調整の期間とやり方、年末調整で適用される控除の種類について解説していきたいと思います。

年末調整の種類

年末調整は年末に行うものだと思っている人が多いと思いますが、実は年末調整は年度の途中に行う場合もあります。

このうち、年末に行うものは会社に所属している全ての従業員が対象です。

しかしこれには例外があり、給与所得が 2000 万円を超えている人は年末調整の対象にならず、確定申告を行う必要があります。

 

また、年度途中に年末調整を行う場合には 5 つほどパターンがあります。それぞれについて見ていきましょう。

➊海外転勤などで非居住者になった場合

海外転勤などで 1 年以上日本を離れる場合、「非居住者」という扱いになります。

その場合、日本を出国する時に年末調整を行う必要があります。

➋死亡により退職した場合

会社の従業員が命を落とした場合、その年の生前の給与をもとに年末調整を行う必要があります。

➌著しい心身障害で退職した場合

著しい心身障害で退職し、その年のうちに給与を受け取ることがないと予想される場合、年度の途中で年末調整を行う必要があります。

ただ、その年のうちに再就職を行ったり、給与を受け取る見込みがあったりする人はその対象になりません。

新しい会社が年末に年末調整を行うからです。

➍ 12 月の給与の支払いを受けた後に退職した場合

この場合も年末の時期に近くはなるものの、年度途中の年末調整を行う必要があります。

➎パートタイマーなどでその年の給与の総額が 103 万円を超えないまま退職した人

この場合、扶養控除により所得税がかからないのが明らかなので、年度途中の年末調整を行う必要があります。

ただ、退職後にほかから給与をもらう見込みがある人は対象になりません。

年末調整の期間とやりかた

年末調整は会社が行うため、従業員は期間内に書類を提出するだけで大丈夫です。

そして、提出する書類は「扶養控除等(異動)申告書」と「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」です。

漢字が羅列してあって難しそうですよね。このうち、「扶養控除等(異動)申告書」とは扶養している配偶者や親族などがいるということを申告する書類です。

一方、「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」とは控除を受けるために提出する書類です。これを提出しないと控除が受けられず、所得税で損をしてしまう場合があるので、注意が必要です。

 

これらの書類に情報を記入し、会社に提出すればあとは会社が手続きを行ってくれます。

ちなみに、年末調整に関する書類の提出期限は会社によって異なりますが、11 月中旬から下旬にかけてが多いでしょう。

年末調整で適用される控除の種類

基礎控除

これは全員が受けることができる控除です。

配偶者控除

これは所得が少ないか、もしくはゼロの配偶者の税金を安くしてくれるというものです。

配偶者の所得が 103 万円以下の場合に適用されます。

配偶者特別控除

配偶者特別控除は配偶者控除と似ていますが、配偶者の所得が少ないというわけではないがあまり多くはない場合に適用されます。

ちなみに、配偶者の所得が 103 万円以上 201 万円以下の場合に適用されます。

社会保険料控除

これは社会保険料を払っていた場合、税金が減額されるというものです。

地震保険料控除

地震保険料を払っている場合にも控除を受けることができます。

扶養控除

扶養控除は多くの人が聞いたことがある控除だと思います。

誰かの扶養家族である場合には基礎控除と合わせて 103 万円まで所得税がかかりません。

勤労学生控除

年間の給与が 103 万円を超えている場合、扶養は外れてしまいますが、学生の場合には勤労学生控除を受けることができます。

ちなみに、対象となるのは年間の給与が 130 万円以下の人です。

障害者控除

障がい者は申告をすると控除を受けることができます。

ちなみに、控除の程度は障がいの重さによって異なります。

寡婦・寡夫控除

寡婦(かふ)もしくは寡夫(かふ)である場合には控除を受けることができます。

ちなみに、寡婦とは夫に先立たれた妻のことで、寡夫とは妻に先立たれた夫のことです。

小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済や個人型年金などにお金を払っている場合には控除を受けることができます。

住宅借入金等特別控除

住宅ローンなどを支払っている場合にはローンの残高に応じて控除を受けることができます。

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「確定申告」をもっと詳しく

確定申告とはさまざまな種類の所得について 3 月ごろに自分で申告・納税を行うことです。

具体的には普通の給与、事業所所得、不動産所得など 10 種あるすべての所得に関する税額を計算する手続きです。

そして、1 年の所得を翌年の 2 月 16 日から 3 月 15 日までの間に自分で計算、申告をし、納税を行います。

ちなみに、確定申告には簡単な白色申告と複雑な青色申告とがあり、青色申告を選ぶといくつか特典を得ることができます。

そして、確定申告だけで納税を行う人は所得が確定した後に税金を支払うため、あらかじめ備えておく必要があるでしょう。

 

ちなみに、収入があるが年末調整を行っていない人は必ず確定申告を行う必要があります。

例えば、自営業をしている人などがこれに当たります。

また、年末調整を行っていても確定申告を行う必要がある場合もあります。

そのパターンは 3 つほどあります。

 

まずは、2 つ以上の職場から給与を受け取っている場合です。年末調整は一人当たりひとつの職場でしか行うことができないので、残りについては確定申告を行う必要があります。

また、副業での収入が合計で 20 万円を超えている人も確定申告を行う必要があります。ちなみに、この場合の副業には株や FX、アフェリエイトなどがあげられます。

そして、ひとつの会社からのみ給与を受け取っている人でも年収が 2000 万円を超えている人は確定申告を行う必要があります。

 

ちなみに、確定申告では税金を納めなければならない場合もありますが、お金が返ってくる場合もあります。

そして、お金が返ってくる確定申告のことを還付申告と言います。

ここからは確定申告でお金が戻ってくる場合の例と、確定申告の手順について解説していきたいと思います。

確定申告でお金が戻ってくる場合

これには8つほど例があります。それぞれについて見ていきましょう。

➊住宅ローン減税1年目

住宅ローン減税を受けるためには最初の年は確定申告が必要です。

ローンを利用して自宅を新築したり、購入したり、増築や改築を行ったりした場合に適用されます。

そして、これは 2 年目以降は年末調整で適用されるので、2 年目以降は確定申告を行う必要はありません。

➋医療費の控除

自分やその扶養家族の年間医療費が 10 万円を超えた場合、確定申告で減税を受けることができます。

そして、これを受けるためには医療機関からのレシートと、給与所得者の場合は源泉徴収表が必要です。

ちなみに、所得の額によっては 10 万円に満たなくとも控除を受けることができる場合があります。

➌災害・盗難・寄付による控除

まず、災害や盗難にあった場合には雑損控除を受けることができます。

また、特定のNPOや国や自治体などに対して寄付を行った場合は寄付金控除が受けられます。

ちなみに、これにはふるさと納税も含まれます。

そして、これらの控除にはいくつか条件があるので、実際に受けようと思っている時には税務署に確認を取ったほうがいいでしょう。

➍退職後年末までに再就職しない場合

この場合、必ず確定申告が必要です。

なぜなら、税務署から見ると退職までの所得税は納められていますが、その後は把握できないからです。

そのため、税務署から最後の税の調整ができていないと判断されます。

ちなみに、この場合、余分に支払った所得税が戻ってくる場合が多いです。

➎退職後に確定申告を行った場合

退職所得の支払いを受ける時に「退職所得の受け取りに関する申告書」を提出していない人はほとんどの場合、確定申告で税金が戻ってきます。

また、申告書を提出していても税金が戻る場合もあります。

➏特別支出控除

給与所得者が特定の仕事にかかわる出費をした場合、特別支出控除を受けられる場合があります。

その例には8つほどあります。

 

まずは仕事に関する図書を購入した場合です。

次に、仕事に関する衣類を購入した場合です。これには職場に着ていくためのスーツなどがあげられるでしょう。

また、仕事に関する交際費用も対象になります。これは例えば取引先に対する接待などの費用です。

 

そして、通勤交通費も対象になる場合があります。ただ、これは自費で払っていた場合だけで、会社から通勤手当が出ている場合などは適用されません。

また、転勤での引っ越し費用も対象です。ただ、これも会社が負担してくれた場合は対象になりません。

また、単身赴任者が帰宅にかかった費用を自費で負担していた場合も控除を受けることができます。

そして、自費であれば研修のための費用も対象です。

ほかにも、資格取得のためにお金がかかった場合でもこの控除を受けられる場合があります。

➐株などの取引で損をした場合

株などの取引で損をした場合には控除を受けられる場合があります。

➑年末調整で控除できなかったものを確定申告で申告した場合

年末調整の項で解説した通り、年末調整で控除の申告ができるものもありますが、申告書の提出を忘れてしまった場合などには控除を受けることができません。

しかし、確定申告で控除の申告をすれば、これが適用され、税金を減らすことができます。

確定申告の手順

確定申告の手順は大きくわけて書類集め、記入、提出にわけることができます。

まず、確定申告を行うためには、確定申告に必要な書類を集める必要があります。

ちなみに、具体的になんの書類が必要かについては所得の形態や受けたい控除の種類などにより異なります。

そして、書類が集まったら確定申告の記入用紙を手に入れ、これに記入を行います。

ちなみに、現在ではネット上で簡単に用紙の記入を行うことができるサービスが行政から提供されています。

 

そのため、ネット環境と印刷機がある家では用紙の記入から印刷まで家の中で行うことができます。

ただ、税に関する手続きは難しいので、どう記入したらいいかよくわからない場合もあるでしょう。

その場合には税務署で説明を受けながらその場で記入を行うこともできます。

 

そして、記入が終わったら提出です。その方法には大きくわけて 3 つあります。

まず、税務署まで直接提出しに行くことができます。この場合、税務署の職員がその場で確認してくれるので一番確実な提出方法だと言うことができるでしょう。

次に、郵送するという方法もあります。郵送する時には記入用紙に必要な書類を同封し、切手を貼って普通郵便で提出すれば大丈夫です。

ただ、信書である必要があるので、ゆうパックやゆうメールや宅急便などでは送ることができません。実際に提出する時には職員に確定申告の書類であるということを言っておいたほうがいいでしょう。

 

また、e-Tax を使ってネットで提出することもできます。ただ、これには事前の申請が必要な上、専用の機材などが必要なので毎年提出するのでなければあまり効率のいい方法とは言えないでしょう。

まとめ

以上、この記事では、「年末調整」と「確定申告」の違いについて解説しました。

  • 年末調整:年末に会社が行う
  • 確定申告:3 月ごろに個人が行う

「年末調整」と「確定申告」はとても大切な手続きです。きちんと行っていくべきでしょう。

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