どこからが「認知症」? 老化による「物忘れ」と「認知症」の違い

違いのギモン

年をとると、誰もが物忘れをするようになりますよね。高齢の家族のことを心配する人は多いでしょう。

どこまでが老化によるによる「物忘れ」で、どこからが「認知症」なのでしょうか。

老化と認知症の違いを、わかりやすく解説します。

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結論:「認知症」は「物忘れ」以外も起こる

「認知症」は、物事を忘れるだけでなく、認知や判断の機能低下も起こります

物忘れは誰にでも起こることで、病気ではありません。しかし、認知症は一部の人にしか発症しないものです。認知症の症状としては、記憶の抜けだけでなく、方向感覚や時間感覚などの障害もあります。しかも、同じ「物事を忘れる」ことでも、状態が全く異なります。

「物忘れ」をもっと詳しく

老化による「物忘れ」は、判断力や認知能力に影響しません。つまり、物忘れは、あくまでも「忘れること」しか起こらないのです。

物忘れは、物事の一部が抜けてしまっている状態です。しかも、ヒントを与えれば思い出すことができます。

たとえば、芸能人の名前を忘れた時のことを考えてみてください。これは、年齢に関係なく、誰にも起こることでしょう。その芸能人の名前が出てこないときに、代表作や出演しているテレビ番組などを言われることで、思い出せることがあるでしょう。これは物忘れと全く同じ状態です。

 

また、物忘れは、物忘れしているという自覚があります

高齢の家族が何か忘れていたとしても、「年だから忘れちゃったよ」などと本人が言っていれば、老化による物忘れだと言えそうです。

しかも、物忘れは、認知機能や判断機能などに支障をきたしません。あくまでも、記憶が抜けやすくなっているだけの状態が、物忘れです。

 

つまり、物忘れでは、日常生活への影響はあまり起こりません。

たとえば、親戚と会う約束をした日を忘れてしまったとします。それでも、会う約束をしたことは覚えています。あらためていつ会う予定か確認するなどの対策を取ることで、物忘れはカバーできます。

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「認知症」をもっと詳しく

「認知症」では、記憶機能に加えて、認知機能や判断機能などにも障害がおこります

認知症は、原因によっていくつかに分類できます。最も多い原因が、「アルツハイマー病」です。アルツハイマー病になると、脳の神経細胞が死滅していきます。ほかにもいくつかの原因病があります。共通点は、「脳の機能に障害が起こること」です。

認知症の症状は、「中核症状」と「周辺症状」に分けられます。中核症状は、脳の機能障害によって直接起こる症状です。一方、周辺症状は、脳の機能障害の影響を受けてかかる心の病気などを指します。周辺症状の度合いは人それぞれです。

認知症の「中核症状」

障害が起こる脳の機能には、記憶機能以外にも、「認知機能」「見当識(けんとうしき)機能」「判断機能」などもあります。

まずは、「記憶機能」の障害について説明しましょう。物忘れと違って、認知症では、ある出来事の記憶が丸ごと抜けてしまいます。たとえば、親戚が今日遊びに来る予定だったのを忘れていたとしましょう。

物忘れの場合、「親戚が遊びに来ること」は覚えていて、「いつ来るか」を忘れていたなど、部分的に記憶が残ります。ところが、認知症の場合は、親戚が遊びに来る予定だったこと自体忘れてしまっています。

認知症では、覚えたことを忘れる前に、そもそも覚えることができなくなってしまうのです。

 

認知機能」とは、ものごとをとらえる機能のことです。認知が十分にできなくなると、簡単な計算ができなくなるなどの症状が出ます。また、たとえば鍋の水が沸騰しているのに火を止めないなど、危険が起こりやすくなります。

見当識機能」とは、日付や方向などの感覚のことです。今日が何日かわからなくなるなどの症状が出ます。

今日の曜日がわからなかったり、日付を1日か2日ほどずれて勘違いしていたりすることは、誰にでもあります。しかし、認知症になると、数十年単位で日付を勘違いすることもあるのです。

判断機能」の例として、家事が挙げられます。家事を効率よくこなす手順を実行できなくなるのです。その結果、部屋が散らかるなどの状態につながります。

 

さらに、言葉が出ない、物の使い方を忘れるなど、脳が関わっている様々な機能に影響が出ます。

認知症の「周辺症状」

認知症は、脳の病気です。脳の機能が失われることで、様々な影響が出ます。

周辺症状としては、性格の変化や、抑うつ状態などが挙げられます。認知症を発症すると、荒っぽく怒りっぽい性格になる患者が多いです。脳機能の衰えについていけず、強いストレスがたまっているのではないか、と説明されています。

また、強いストレスによって、気分がふさぎ込むこともあります。これが、「抑うつ状態」です。

他にも、妄想や失禁(しっきん:漏らしてしまうこと)など、様々な周辺症状が見られます。

 

認知症は、物忘れと違って、患者に自覚がありません

たとえば、財布が見つからないとします。物忘れであれば、「自分がどこかに財布を置いた」ことを覚えているので、探そうとします。

ところが、認知症の場合は、財布を置いたこと自体忘れてしまっています。その上、「自分は認知症だ(財布を置いた場所を忘れてしまうかもしれない)」ということを自覚していません。そのため、「誰かに財布が盗まれた!」という妄想が起こるのです。

 

周辺症状の発症は、患者によって差があります。「認知症患者が全員暴力をふるってしまう」というのは偏見です。暴力にいたる例はごく一部です。早めに認知症を発見し、治療に努めることで、症状の進行を抑えることができます。

まとめ

以上、この記事では、「認知症」と「老化」の違いについて解説しました。

物忘れ認知症
進行非常にゆるやか早い、完治しないものも
記憶部分的に忘れ、ヒントがあれば思い出す完全に忘れる
他の機能障害なし認知機能・判断帰納など
本人の自覚ありなし

認知症は、今や高齢者の1割近くが発症しています。高齢の家族に「物忘れとは違うかな」と思う出来事があれば、早めにお医者さんなどに相談しましょう。

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