身近に起きるかも!「破産」と「民事再生」の違い

違いのギモン

「民事再生」という言葉を知っていますか?「破産」と比べると、やや知名度は落ちるかと思います。しかし、実は「民事再生」は経営状態が悪化した企業にとっての重要な手段の一つです。

例えば、航空会社スカイマークは、2015年1月28日に経営破綻により、東京地裁に「民事再生」を申請しています。その後2016年3月28日には債権者への返済を終え、再建手続きは終了しました。

スカイマークは知名度の高い航空会社でしたが、結局のところ「民事再生」とは何なのか、「破産」とは異なるのか、といったことが分からない人も多いでしょう。今回はそんな「破産」と「民事再生」の違いについて解説していきます。

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結論:「破産」は清算後、会社消滅。「民事再生」は借金を返済し、会社再建。

「民事再生」と「破産」の一番大きな違いは、会社が存続するか否かです。「民事再生」は、経営が悪化した企業が、借金の返済に猶予を持ちつつ、会社の事業再建を図る手続きです。

一方「破産」は会社の資産・財産を換金し、できる限り債権者に返済した後、会社は消滅します。

「民事再生」をもっと詳しく


「民事再生」とは、「倒産」した企業が再生計画(経営状態を回復させ、債務が返済できそうな計画)を作成し、借金の返済一時停止・一部免除の状態から会社の事業再建を図る手続きです。

「倒産」の手続きには会社が消滅する「清算型」と会社が存続する「再建型」がありますが、「民事再生」は後者に当たります。「民事再生法」に基づいて行われます。

会社は経営を存続しますが、再生計画に沿って経営をおこなわなければなりません。経営者の経営権は維持され、財産の処分や計画の作成なども会社主導で行います。対象は主に中小企業や個人です。再生計画は、債権者の決議による可決・裁判所の認可により成立します。

 

債権者による可決を得るためには、「現状の財産を処分して債務返済した場合」よりも「再生計画通りに進んで債務返済した場合」の方が、より多くお金を支払える、と言える必要があります。

そのためには再生計画により、会社の事業が再生できる見通しが必要です。債務免除と再生計画により経営状態の回復が見込まれる会社には「民事再生」は有効な手段となります。2015年に航空会社スカイマークは経営破綻の後、「民事再生」を行いました。

 

債権者は通常お金を借りる時、債務者の財産を担保とし、返せなくなった場合の保険とします。債務者が「民事再生」となった場合でも、債権者は担保としていた債務者の財産を競売にかけることができます。

個人の民事再生を行う場合は、借金の大部分が免責となるため、定められた金額を返済すれば債務がなくなります。借金の免責の割合は、ケースによって異なりますが、5分の1から10分の1程度になる可能性があります。「民事再生」では「破産」と異なり、家などの財産を持ち続けることができます。

原則3年間で、定められた金額を分割して返済していきます。しかし、「自己破産」とは異なり借金の一部返済が必要となるため、継続的・安定的な収入がある人のみが対象となります。

2017年「民事再生」会社の例

  • タカタ株式会社 負債総額1兆5024億、自動車部品製造業
  • 株式会社小樽ベイシティ開発 負債総額280億円、大型商業施設管理運営
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「破産」をもっと詳しく


「破産」とは、自分の資産によって債務を返済することができなくなった時に、財産を強制的に換金し、全ての債権者に可能な限り返済する裁判上の手続きです。個人・法人共に「破産」を行うことができます。

方法は「破産法」により規定されています。借金の額が多く、「再生計画」による事業立て直しが困難である場合には「民事再生」よりも「破産」の方が適しています。

 

「倒産」の手続きには会社が消滅する「清算型」と会社が存続する「再建型」がありますが、「破産」は前者に当たります。「破産」の手続きが終わり、清算が終了した後は、会社は消滅します。

会社が「破産」した場合であっても、経営者はあくまで倒産した会社と経営者は別の存在として扱われます。そのため個人的な責任を負わず、債務を引き継ぐこともありません。

個人が自ら「破産」を申したてることを「自己破産」といいます。「自己破産」を行うと、債務の返済義務はなくなります。しかし、一定の職業への制限(弁護士、司法書士、警備員、質屋など)、財産の没収、クレジットカードの利用不能などのデメリットもあります。こちらは借金返済が困難な場合に有効です。

2017年「破産」会社の例

  • 株式会社てるみくらぶ 負債総額151億円、旅行業界過去4番目の大型倒産
  • ネットカード株式会社 負債総額594億円、消費者金融業

まとめ

以上、この記事では、「民事再生」と「破産」の違いについて解説しました。

  • 民事再生:借金減額後、計画に基づいて事業再建をする手続き
  • 破産:換金した財産を債権者にできる限り分配し、会社を消滅させる手続き

「民事再生」は経営が行き詰り、債務を返済できなくなっても、再スタートを切ることができる魅力的な手段です。多くの会社が行ってきましたが、上記の「株式会社てるみくらぶ」などは耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。

「民事再生」と「破産」は、会社だけの特権ではなく、借金を抱えた個人でも利用することができます。様々な制限・デメリットはもちろんありますが、今後のために詳しく知っておいて損はないでしょう。

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