似てるようで違う!「適応障害」と「うつ病」の違い

違いのギモン

最近、こころの病気が増えてますよね。それは、現代社会がストレスのたまりやすい環境であるからだと言われています。そして、「うつ病」はその中でも代表的なこころの病気ですよね。

また、「うつ病」と似たこころの病気としては「適応障害」があります。この2つの言葉の違いをきちんと説明できる人はなかなかいないでしょう。しかし、こころの病気はこれからますます身近なものになっていくと言われています。

なので、こころの病気の知識を蓄えておくことは重要です。

そこで、今回は似てるようで全然違う、「適応障害」と「うつ病」の違いについて解説していきたいと思います。

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結論:ストレスの原因がなくなれば改善するかどうかが違う

適応障害とうつ病は、どちらも主な原因がストレスであるという共通点があります。

しかし、適応障害がストレスの原因を取り除けば解消されることが多いのに対し、うつ病はストレスの原因を取り除いても解消されることは少ないです。

「適応障害」をもっと詳しく

適応障害とは、ストレスなどが原因でさまざまな症状が起こり、社会的機能が著しく損なわれている状態のことです。そして、意外に思われるかもしれませんが、5%~20%の人がこの病気を持っていると言われています。

では、この病気について、特徴、原因、診断基準、期間、症状、治療の順に見ていきましょう。

適応障害の特徴

適応障害の最大の特徴はストレスが緩和されると症状が緩和されることです。ここがうつ病と大きく異なります。

また、適応障害は放置してしまうと症状が進行し、摂食障害や睡眠障害、それからうつ病などに発展してしまいます。そのため、早期発見と発見したら適切な治療を受けることが大切です。

そして、日常生活や対人関係に影響が出るくらいの不安、心配、性格の変容などが出ているものはたいてい適応障害と言うことができます。また、症状が原因で起こった事態に対して罪悪感を持たないことが多いという特徴もあります。

つまり、社会にうまく適応できなくなってしまった状態のことを適応障害と言うのです。

適応障害の原因

適応障害の原因は大きくわけて外的要因と内的要因にわけられます。

それぞれについて見ていきましょう。

外的要因

外的要因とは人の外側にある原因、つまり社会や環境などの原因のことです。

そして、適応障害の外的要因はストレスです。

ストレスはもちろん悪い面だけではなくて、適度なストレスは人間が生きていくために必要です。しかし、ストレスがたまりすぎて悪い方向に働いた時は適応障害の原因になってしまいます。

また、ストレスがたまる原因が1つだけでなく、複数あるという場合にはより適応障害になりやすいでしょう。

例えば、離婚、職場トラブル、隣人トラブルなどが適応障害の直接の原因になることが多いでしょう。また、周りから見たら喜ばしいことに見えても、本人がそれをストレス要因と感じていたら適応障害の原因となってしまう場合があります。

内的要因

内的要因とは、人の内側にある原因、つまりその人自身に関する原因です。

そして、適応障害の内的要因は、個人の資質です。そして、それにはさまざまなものがあります。

例えば、感情の振れ幅が大きい人は自分の感情をコントロールするのがあまり得意ではないため、ストレスをためやすいと言えるでしょう。

また、人のささいな言葉にすぐ傷ついてしまう人はストレスをためこみやすいです。

ほかにも、自律神経のコントロールがうまくいかない人もストレスに弱いです。

また、すぐ0か100か決めようとする白黒はっきり付けたい人、頼みごとを断れない人、まじめだが頑固な人もストレスをためこみやすいと言えるでしょう。

それ以外にも、ストレス耐性が低い人、ストレスの経験が不足している人、ストレスへの対処能力が低い人は適応障害になりやすいです。

適応障害の診断基準

適応障害の診断基準は主に4つあります。

まず1つ目はハッキリとしたストレスの原因があって、それから3ヶ月以内に症状が出現していることです。原因がハッキリしているのは適応障害の特徴の1つですよね。

2つ目は著しい苦痛があり、生活に支障があることです。逆に、支障がなければ障害とまでは言えないでしょう。

3つ目はほかの精神疾患の診断基準を満たしておらず、死別が原因のものではないということです。人は親しい人が亡くなった時に深い悲しみに暮れてしまうことがありますが、これは時間が解決することが多く、適応障害とは違う状態です。

4つ目はストレスの原因がなくなると症状が改善され、6ヶ月以内によくなることです。逆に、ストレスの原因がなくなっても症状が改善されない場合はうつ病などほかの病気を疑ったほうがいいでしょう。

適応障害の期間

適応障害には急性のものと持続性のものとがありますので、それぞれについて解説していきたいと思います。

急性適応障害

急性適応障害は、ストレスの原因が一時的で激しいものである場合に発症します。

そして、その分、半年未満の比較的短い期間で症状が消えます。

持続性適応障害

持続性適応障害は、ストレスの原因が長引いた時に発症します。

これは、症状も長引きます。

適応障害の症状

適応障害の症状には大きく分けて精神面と行動面の2つがあります。それぞれについて解説していきたいと思います。

精神面

適応障害の精神面での症状は意欲の低下、食欲不振、倦怠感(けんたいかん)、憂鬱感(ゆううつかん)など、ストレスで生じる症状すべてです。そして、これらの症状はうつ病と似ています。

行動面

適応障害の行動面での症状は精神面での症状と違い、うつ病と大きく違います。

そして、その症状は人によってさまざまですが、不安や焦り、怒りによって気持ちが不安定になり、いきなり怒り出したり突然泣き出したりする人が多いです。

また、アルコールやタバコなどに依存する傾向があり、意味のないウソをついたり、行き過ぎた攻撃性を見せたりすることもあります。

例えば、ちょっと気に障ることを言われただけで人を殴ってしまったりすることがあります。

そして、子どもが適応障害になった場合には夜に尿をもらしてしまったり、指をしゃぶりだしたりするなどの、幼児返りが起こる場合があります。

適応障害の治療

適応障害の治療では、まずストレスの原因を取り除くことが最優先になります。例えば、職場トラブルの場合には一旦、会社を休んでもらったり、転職してもらったりします。

そして、ストレスの原因を取り除くのが困難な場合や、ストレスの原因を取り除いた後は本人の適応力を高める治療を行います。

その具体的な手段としてはカウンセリングのほか、認知療法と投薬治療などがあります。

まず、認知療法とは日常に影響を及ぼすほど理不尽で非合理的な考え方を対話などでだんだん矯正していく治療法のことです。そして、これは人に性格の変化を求めるものなので、長い時間が必要な上、本人が積極的に取り組む必要があります。

また、投薬治療には原因を根本から治療するわけではなく、対症療法でしかないという特徴があります。

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「うつ病」をもっと詳しく

うつ病とは、脳の神経伝達物質などの量が減少することにより気分の落ち込みが慢性的に続くようになってしまう病気のことです。

そして、症状が重くなっていくと、自殺という悲劇的な結末を迎えてしまうことがあるので、早期発見・早期対処が重要です。

これは、特徴、原因、症状、治療の順に見ていきましょう。

うつ病の特徴

まず、うつ病の大きな特徴はストレスの原因を解消しても回復するのが難しいという点です。これは適応障害と異なってますよね。そして、適応障害と違って、原因がよくわからないこともあります。

うつ病の原因

うつ病の根本的な原因は、環境に適応できなかったことによる不安やストレスです。そして、これにより脳の神経科学的なメカニズムが変化し、脳内で働く神経伝達物質の働きが悪くなってしまい、これがさまざまな症状を生み出します。

しかし、うつ病の原因について詳しいことはよくわかっていません。

うつ病の症状

うつ病の症状には大きく分けて精神症状と身体症状があります。それぞれについて解説していきたいと思います。

うつ病の精神症状

うつ病の精神症状は適応障害とよく似ています。

具体的には、朝に強い憂鬱気分を感じる、無気力で自責の念を感じる、重いおっくう感で本などを読んでも頭に入ってこない、不安や焦燥やイライラ、自信喪失、自責感などです。

うつ病の身体症状

うつ病には精神面での症状だけではなく、肉体面にも症状が現れます。

例えば、睡眠障害が起こり、朝に早く起きてしまい寝られなくなったり、寝ている途中におきてしまい、寝られなくなってしまったりします。

また、食欲不振、性欲低下、体重減少、便秘、口の渇きなどが起こることもあります。

そして、これらの症状は自律神経の調子が乱れてしまう、自律神経失調症と似ているところがあります。

うつ病の治療

うつ病の治療としてまず基本になるのは休養です。そして、休養をとった上で、投薬治療、精神療法などを行います。

それぞれについて見ていきましょう。

うつ病の投薬治療

うつ病の患者に投薬治療を施す場合は、抗うつ剤を用います。

抗うつ剤とは、うつ病により減少してしまった脳の神経伝達物質を補填することで、症状を緩和させる薬です。そして、昔は副作用の強い薬でしたが、現在では副作用は弱くなっています。

また、この薬は確かにうつ病に効くのですが、その詳しいメカニズムはよくわかっていないという不思議な薬です。

そして、うつ病の薬を飲んだら人格が変わってしまうのではないか、などという不安を持つ方もいますが、抗うつ剤は足りないものを補填するだけの薬なので、そのようなことが起こることはありません。

うつ病の精神治療

うつ病の精神治療は主にカウンセリングや認知療法などです。これは適応障害の治療と共通しているので、詳しい解説は「適応障害の治療」の項をご覧ください。

まとめ

以上、この記事では、「適応障害」と「うつ病」の違いについて解説しました。

  • 適応障害:ストレスの原因が取り除かれれば解消されることが多い
  • うつ病:ストレスの原因が取り除かれても解消されないことが多い

この2つの病気はどちらも本人にとってはとてもつらいのに、周りの人からは理解されにくいという特徴があります。

周囲でうつ病や適応障害の症状が出ている人がいたら、ぜひ精神科の受診をおすすめしてあげてください。

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